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【薬の構造式】フッ素原子(F)にはどのような働きがあるのか?

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薬の構造式を見ていると、構造式中にハロゲンの1つ「フッ素原子(F)」が含まれていることがある。

実はフッ素原子は、性能を向上させる効果を持つハロゲンなのだ。

そこでこの記事では、フッ素原子の働きについてまとめた。

 

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フッ素とは?

まず下の周期表でハロゲンを確認してほしい。

ハロゲンとは、「フッ素(F)」、「塩素(Cl)」、「臭素(Br)」、「ヨウ素(I)」、「アスタチン(At)」の総称で、赤枠で囲んでいる5つの元素を指す。

 

periodic_nocolor参照:科学の迷路

 

ここで覚えて欲しいのが、以下の2つの特徴だ。

1:周期表の右上にいけばいくほど、電気陰性度が高い(希ガスを除く)

2:原子番号が小さいほど、原子半径も小さい

 

ではフッ素原子の位置をチェックしてみよう。

周期表のフッ素原子の位置を確認すると、希ガスを除けば1番右上にある。

そしてフッ素原子の原子番号は小さい。

 

つまりフッ素原子の特徴は、以下のようになる。

1:フッ素原子は電気陰性度が高い

2:フッ素原子の原子半径は小さい

 

電気陰性度が高いとどうなるか?

先ほど確認したように、「フッ素原子は電気陰性度が高い」という特徴がある。

では電気陰性度とはなんだろうか?

 

簡単に言ってしまうと、電気陰性度とは「電子を引きつける強さ」だ。

要するに、電気陰性度が高ければ高いほど、電子を強く引きつけることができる。

 

どこの電子を引き寄せるかというと、「フッ素原子の隣にある原子(炭素原子)」である。

炭素原子上の電子をフッ素原子が強く引きつけると、フッ素と炭素が強く結びつく。

 

その結果、フッ素と炭素間の結合を切断するのが難しくなるため、薬が分解されにくくなり、安定化するのだ。

これが薬の構造に、フッ素原子が導入される1つ目の理由である。

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原子半径が小さいとどうなるか?

2つ目のフッ素原子の特徴が、「原子半径が小さい」ということだ。

ざっくり言えば、「原子半径が小さい≒原子の大きさが小さい」ということを意味する。

 

では原子が小さいことによるメリットとは何か。

それは、「薬の化学構造が大きくなり過ぎない」ということだ。

 

薬は受容体へ結合することによって、その作用を示す。

しかし、せっかく素晴らしい作用を持つ化学構造であっても、その構造が大きければ受容体にちゃんと結合できないのだ。

 

そこでフッ素原子を薬に導入すると、化学構造の大きさが肥大化しない。

その結果、薬の作用が強くなり、安定化させることが可能になるのである。

 

フッ素原子を含む薬の例

では最後に、どのような薬にフッ素原子が含まれているのかを確認しよう。

フッ素原子が含まれる代表的な薬には、以下のようなものがある。

 

【フッ素原子が含まれる薬の代表例】

ザファテック(成分名:トレラグリプリン)

ドラール(成分名:クアゼパム)

リピトール(成分名:アトルバスタチン)

 

▼ザファテック(成分名:トレラグリプチン)

 

ザファテック

 

フッ素原子が導入されている代表的な薬の1つが、世界初の週1回投与タイプのDPP-4阻害薬「ザファテック(成分名:トレラグリプリン)」だ。

 

ザファテック(成分名:トレラグリプリン)の化学構造を確認してほしい。

赤丸の箇所にフッ素原子が導入されていることが分かると思う。

このようにフッ素原子を導入した結果、薬が安定化して、週1回投与が可能になったと推測される。

 

▼ドラール(成分名:クアゼパム)

 

 

ドラール

 

次の例は、長時間作用型ベンゾジアゼピン系睡眠薬の「ドラール(成分名:クアゼパム)」だ。

ドラール(成分名:クアゼパム)にいたっては、フッ素原子がその構造中に4個も導入されている。

その結果、作用が長時間続くのである。

 

▼リピトール(成分名:アトルバスタチン)

 

リピトール

 

3つ目の例が、脂質異常症治療薬であるHMG-CoA還元酵素阻害薬「リピトール(成分名:アトルバスタチン)」だ。

ストロングスタチンに属するリピトール(成分名:アトルバスタチン)には、フッ素原子が導入されていることが確認できる。

 

一方スタンダードスタチンに分類されるは「メバロチン(成分名:プラバスタチン)」には、フッ素原子が導入されていない。

 

メバロチン

 

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まとめ

この記事をまとめると、以下のようになる。

 

【フッ素原子の特徴】

◆フッ素原子は電気陰性度が高い

◆フッ素原子の原子半径は小さい

 

【フッ素原子の働き】

◆薬を安定化させる

 

以上のように化学構造式から、その薬の特徴を読み取ることが可能だ。

添付文書を見たときは、ついでに化学構造式を確認する癖をつけるのも良いだろう。

化学構造式から、より多くの情報を得られるはずだ。


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