薬物動態

【薬物動態】「線形薬物」と「非線形型薬物」の違いとは?-分かりやすく解説-

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薬の薬物動態は、「線形を示すもの」と「非線形を示すもの」に大きく分類できる。

そこでこの記事では、「線形薬物」と「非線形型薬物」の違いについてまとめた。

 

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線形薬物とは

最初に「線形薬物」とは何か確認しておこう。

簡単に言うと、線形薬物とは薬の投与量に比例して血中濃度が上昇していく薬だ。

ほとんどの薬は、線形薬物に分類される。

 

【線形薬物】

投与量と血中濃度が比例関係にある

 

つまり投与した薬の量を2倍にしたら、血中濃度も2倍なる。

そして投与した薬の量を3倍にしたら、血中濃度も3倍になるということである。

図で示すと、以下のようになる。

線形薬物

非線形薬物とは

線形薬物が「投与量と血中濃度が比例関係にある」のに対し、非線形薬物とは投与量と血中濃度が比例関係にない薬物のことを指す。

 

【非線形薬物】

投与量と血中濃度が比例関係にない

 

非線形薬物は、大きく分けて2種類ある。

それが「血中濃度が上昇するタイプ」と「血中濃度が上がらないタイプ」だ。

 

▼血中濃度が上昇するタイプ

まず1つ目が、投与した薬の量に対して、血中濃度が大きく上昇するタイプだ。

図で示すと以下のようになる。上昇型非線形薬物

このような挙動を示す薬物にはミカルディス錠(成分名:テルミサルタン)やパキシル錠(成分名:パロキセチン)、プロノン錠(成分名:プロパフェノン)、アスペノンカプセル(成分名:アプリンジン)などがある。

 

【血中濃度が上昇するタイプ】

ミカルディス錠(成分名:テルミサルタン)

パキシル錠(成分名:パロキセチン)

プロノン錠(成分名:プロパフェノン)

アスペノンカプセル(成分名:アプリンジン)

 

薬は薬物代謝酵素によって代謝され、体の外へ排出される。

しかし、ある一定量の薬を投与すると、代謝能力が限界を超えてしまうことがある。

そうすると、血中に代謝できない薬の量がどんどん増えていってしまう。

 

例えば薬物Xは、投与量が50mgを超えると代謝できなくなる薬だとしよう。

最初は25mgを投与していたが、ある時50mgへと増量した。

この時、増量した薬の量は2倍なので、血中濃度も約2倍になる。

 

そして次の機会に50mgから100mgへと増量したとする。

しかし薬物Xは、50mgまでしか正常に代謝できない。

 

そのため投与量は2倍しか増えていないが、血中濃度は2倍どころか3倍4倍となってしまうのだ。

その結果、上図で示したような投与量以上の血中濃度の上昇が見られるようになるのである。

 

これは専門的に言うと、「一次消失速度過程からゼロ次消失速度過程へと移行した」と言う。

詳しくは、以下の記事参照。

>>> 「一次消失速度過程」と「ゼロ次消失速度過程」の違いとは?

 

▼血中濃度が上昇しないタイプ

2つ目の非線形薬物が、薬の投与量を増やしても血中濃度が上がらないタイプである。

図で示すと、下記のようになる。

頭打ち非線形薬物

このような挙動を示す薬物には、デパケン(成分名:バルプロ酸ナトリウム)がある。

 

【血中濃度が上昇しないタイプ】

デパケン(成分名:バルプロ酸ナトリウム)

 

なぜこのようなことが起きるかというと、デパケン(成分名:バルプロ酸ナトリウム)はタンパク結合率が高い薬物だからだ。

 

薬は「タンパクとくっついている状態」または「タンパクとくっつかず、そのままの状態」のどちらかの形態で血中に存在している。

薬がその作用を発揮するには、タンパクに結合していない状態である必要がある。

 

デパケン(成分名:バルプロ酸ナトリウム)は先程も書いたように、タンパク結合率が高い薬物だ。

しかし血中のタンパクの数には限りがある。

 

そのため投与量を増やすと、タンパクに結合していない薬の割合が増えてくる。

このようにタンパクに結合していない薬が増えてくると、これらは血中から組織へ徐々に移行していく

 

すると、上図のような血中濃度と投与量の比例関係が崩れる。

どんどん血中から組織へと移行していくので、血中濃度が上がらなくなるのだ。

これが、血中濃度が投与量に比例して上昇しなくなる理由である。

 

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非線形薬物の注意点

先程も書いたように、非線形薬物には投与量と血中濃度に比例関係が見られない。

予想以上に血中濃度が上昇する可能性があるので、低用量から投与を開始し、徐々に増量していくのが一般的である。

 

また、非線形薬物は肝臓によって代謝される薬である場合が多い

そのため、肝機能が低下している人や高齢者に非線形薬物を使う場合は、過度な血中濃度上昇による副作用の発現に特に注意する必要がある。

 

まとめ

簡単に「線形薬物」と「非線形型薬物」の違いをまとめると、以下のようになる。

線形薬物とは

線形薬物とは、薬の投与量に比例して血中濃度が上昇していく薬

ほとんどの薬が、線形薬物に属する。

 

非線形薬物とは

非線形薬物とは、投与量と血中濃度が比例関係にない薬。

「投与量以上に血中濃度が上昇してしまうタイプ」や「投与量を増やしても血中濃度が上がらないタイプ」などがある。

投与量と血中濃度が比例関係にないため、低用量から開始し、少しずつ増量していくのが望ましい。

 

また非線形薬物は、肝臓で代謝される薬にあることが多い。

そのため肝機能が低下している患者に使う場合は特に注意が必要。

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