薬物動態

塗り薬は皮膚からどのように吸収されるのか?-吸収経路と吸収性に影響を与えるもの-

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塗り薬は皮膚から吸収されることにより、その効果を発揮する。

では、具体的に塗り薬はどのような経路で吸収され、どのような条件下だと吸収されやすいのだろうか。

 

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塗り薬はどのように吸収されるのか?

塗り薬が吸収される経路は大きく分けて2つある。

それが「付属器官経由での吸収」「表皮からの吸収」だ。

 

付属器官経由で吸収

1つ目の吸収経路が「付属器官経由」である。

付属器官とは、要するに汗を出す汗腺皮脂を出す皮脂腺、そして毛穴などのことを指す。

薬は汗腺、皮脂腺、毛穴などの付属器官から吸収されるのである。

 

【代表的な付属器官】

◆汗腺

◆皮脂腺

◆毛穴

 

表皮から吸収

表皮からの吸収とはそのままの意味で、皮膚の表面から吸収される経路である。

 

表皮には、外部から異物が侵入するのを防ぐ角質と呼ばれるバリアがある。

そのため、吸収速度は付属器官経由よりも遅い

 

ただし、表皮の面積の方が付属器官よりも大きいため、通常は表皮吸収の方がインパクトは大きく効果も期待できる。

 

付属器官経由と表皮経由の比較

まとめると、以下のようになる。

 

【吸収スピード】

付属器官経由>表皮経由

 

【薬効に与えるインパクト】

表皮経由>付属器官経由

 

塗り薬の吸収性に影響を与えるものとは?

では塗り薬の吸収性に影響を与えるものには何があるのだろうか。

これも吸収経路と同様に大きく分けて2種類ある。

それが「人体側の要因」「薬の性質側の要因」だ。

 

人体側の要因

1つ目の要因が、人体側の要因である。

つまり、塗り薬を使う対象側の要因である。

 

1:塗る場所

まず、塗る場所によって薬の吸収性は大きく異なる

例えば、手のひらなどは角質と呼ばれる皮膚のバリアが厚いため吸収性は高くない。

逆に頭皮や顔面などは毛穴が多く吸収性が良いことで知られている。

 

吸収性の悪い部位と良い部位の代表例は以下の通り。

【吸収性の悪い部位】

◆手のひら

◆足の裏

◆足首

 

【吸収性の良い部位】

◆頭皮

◆顔面

◆わきの下

◆陰嚢

 

2:皮膚疾患がある

2つ目が皮膚疾患があるかないかによって吸収率が変わってくる。

前述の通り、皮膚は異物が侵入するのを防ぐバリア機能を持つ。

そのため、このバリア機能が低下している状態の方が吸収性はよくなる

 

例えばアトピー性皮膚炎のような皮膚疾患がある場合はバリア機能が低下しているので、健康的な皮膚に比べて薬が吸収されやすい。

 

3:年齢

3つ目が年齢である。

成人に比べると、乳幼児や小学生など年齢の低い子どもは薬の吸収性が高い

これは年齢が低いと皮膚のバリア機能が十分に発達していないためである。

 

4:皮膚の温度

4つ目が皮膚の温度だ。

一般的に皮膚の温度が高いと、薬が吸収されやすくなる

これは皮膚の温度が高いことにより、塗り薬がなじみやすくなるためだと考えられている。

薬の性質側の要因

薬の性質も吸収率に影響を与える。

 

1:薬の分子量の違い

まず薬の分子量によって吸収率に違いあり、分子量が小さいほど吸収されやすい

分子量とは、簡単に言ってしまうと有効成分の大きさである。

当たり前だが、有効成分が大きければ大きいほど体に入りにづらいので吸収されにくくなる。

 

具体的には、分子量が500以上だと吸収されにくい

ただし、前述の通りアトピー性皮膚炎などが原因でバリア機能が低下している場合はこの限りではない。

 

2:脂溶性・水溶性の違い

薬が脂溶性か水溶性かによっても吸収率が変わってくる。

皮膚は脂溶性であるため、水溶性薬物よりも脂溶性薬物の方が吸収されやすい

 

3:基剤(添加物)の違い

3つ目が基剤(添加物)の違いである。

基剤(添加物)とは簡単に説明すると、その薬を形作る原料のことだ。

つまり、クリームなのか軟膏なのかといった性質を決めたり、保存期間を長くしたりするなどの働きをするのが基剤(添加物)である。

 

この基剤(添加物)に薬が溶けやすいか溶けにくいかによって吸収率が異なる。

薬が溶けやすいタイプは皮膚から吸収されにくく、溶けにくいタイプは吸収されやすい

詳しい基剤(添加物)の解説については下の記事参照

>>> 塗り薬によく使われている添加物とその役割について簡単に解説する

 

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その他の吸収率に影響を与えるもの

吸収率に大きな影響を与えるのは上記のものだが、他にも吸収率に影響を与える要因がある。

 

塗り方

まず1つ目が塗り方である。

擦り込んだり、圧迫しながら塗ることによって吸収されやすくなる

 

塗る回数

そして2つ目が、塗る回数である。

単純に塗る回数が多いと吸収性は上がる

 

しかし、医師の指示以上に塗るのは逆効果なので、塗りすぎはNGある。

「1日数回塗布」と指示された場合は、3回程度を目安に塗る。

詳しくは下記参照。

>>> 塗り薬の「1日数回・適量を塗布」はどれくらいのことなのか?

 

薬との接触時間

3つ目が薬との接触時間である。

例えば腕に薬を塗って1時間ほどで腕を洗ってしまうと、十分に薬が吸収されなくなってしまう。

 

まとめ

以上のように塗り薬の吸収率は多くの要因によって左右される。

そのため、これらの要因を考慮しながら塗り薬を選ぶことが非常に重要である。

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