薬物動態

【薬物動態】「分布容積が小さい・大きい」とは何を意味するのか

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薬物動態学の用語は、分かりにくいものが多い。

その代表例が「分布容積」だ。

 

「分布容積」は薬物動態を学ぶ上で非常に重要なワードだが、ちゃんと答えられる人は意外と少ない。

そこでこの記事では、「分布容積とは何か」や「分布容積が小さい薬の特徴」、「分布容積が大きい薬の特徴」についてまとめた。

 

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分布容積とは

簡単に言ってしまうと、分布容積とは「薬の組織への移行しやすさ」だ。

これだけだと分かりにくいと思うので、例を挙げよう。

例えば「分布容積が大きいAという薬」と「分布容積が小さいBという薬」があるとする。

 

そして、それぞれ同じ量を投与する。

この時に得られる血中濃度が、分布容積によって異なるのだ。

 

結論から言うと、分布容積の大きいAの方が血中濃度は低くなる。

なぜなら「分布容積が大きい=組織への移行しやすい」だからだ。

要するに、血中に留まることなく組織へと移行しやすいのである。

 

一方、分布容積が小さいBはどうなるか。

「分布容積が小さい=組織へ移行しにくい」ということを意味する。

そのためAよりもBの方が、血中濃度は高くなりやすい。

 

以上の例に示したように、分布容積は「薬の組織移行性」を把握するのに、非常に便利な指標なのである。

 

【分布容積とは?】

薬の組織への移行しやすさ

分布容積が小さい薬の特徴とは

分布容積が小さい薬は、組織へ移行しにくい。

そのため、そのほとんどが血液中に留まることになる。

 

血液中に薬が留まると、一体どうなるのか。

簡単に言ってしまうと、血液中で薬の相互作用が起こりやすくなる

 

例えば、分布容積の小さい代表的な薬に、血液をサラサラにするワーファリン錠(成分名:ワルファリン)がある。

血液中のワーファリンは、95%以上が血中のアルブミンと結合して存在する。

 

ここで気をつけたいことは、血液をサラサラにする働きをするのは「アルブミンに結合していないワーファリン」ということだ。

 

ではワーファリンを投与している時に、同じく分布容積が小さく血液中に留まりやすい薬である「NSAIDs」を投与したらどうなるか。

 

答えは簡単だ。

NSAIDsもアルブミンに結合しようとするため、アルブミンに結合できるワーファリンの量が減ることになる。

 

そうなると、アルブミンに結合できないワーファリン錠(成分名:ワルファリン)が増えるので、薬の効果が過度に増強される。

要するに、より血液がサラサラになるため、出血しやすくなってしまうのだ。

 

以上のような理由により、分布容積が小さい薬を投与している場合は、相互作用による副作用の発現に注意が必要となる。

 

【分布容積が小さい薬の特徴とは】

薬の相互作用に注意が必要

 

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分布容積が大きい薬の特徴とは

もう1度おさらいをすると、「分布容積が大きい=組織への移行しやすい」ということだ。

さらに詳しく言うと、組織へ移行しやすい薬は、体から排泄しにくくなる。

つまり分布容積が大きい薬の問題点は、「薬が体の中に溜まりやすくなること」なのだ。

 

例えば分布容積が大きい薬の代表例として、ジゴキシンがある。

要するに、長期に渡ってジゴキシンを服用することによって、薬が体内に蓄積して不整脈などの副作用を生じる可能性がでてくるのだ。

 

分布容積が大きい場合、薬の服用を止めたとしても、薬の成分を排泄するのに時間がかかる。

そのため、服用をやめたとしても、すぐに副作用が消失するというわけではないのだ。

つまり副作用の兆候を早く見つけ、重症化しないようにすることが非常に重要なのである。

 

【分布容積が大きい薬の特徴とは】

薬が体の中に溜まりやすい

 

まとめ

分布容積について簡単にまとめると、以下のようになる。

▼分布容積とは

分布容積とは、「薬の組織への移行しやすさ」を意味する。

 

▼分布容積の小さい薬の特徴とは

分布容積の小さい薬では、血液中に薬が留まる。

その結果、血液中で薬の相互作用が起こりやすくなる。

 

▼分布容積の大きい薬の特徴とは

分布容積が大きいと、組織へ移行しやすくなる。

組織へ移行しやすいと、薬が排泄されにくくなり、薬が体内に留まりやすくなる。

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