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【薬剤師が解説】脂質異常症(高脂血症)治療薬の種類と特徴

更新日:

 

病院で処方される脂質異常症(高脂血症)の薬には、さまざまな種類がある。

 

【主な脂質異常症治療薬】

  • HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン製剤)
  • フィブラート系薬
  • 小腸コレステロールトランスポーター阻害薬
  • EPA・DHA製剤
  • 陰イオン交換樹脂
  • ビタミンE製剤
  • コレステロール異化促進薬
  • PCSK9阻害薬

 

そこでこの記事では、主な脂質異常症治療薬の種類や特徴についてまとめてみた。

 

では本題へ。

 

 

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HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン製剤)

 

HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン製剤)の特徴

HMG-CoA還元酵素阻害薬は、コレステロールの合成を阻害する薬だ。

 

コレステロールの合成には、HMG-CoA還元酵素という物質が大きく関わっている。

 

そのため、HMG-CoA還元酵素の働きを弱めれば、コレステロールの合成が抑制されるというわけだ。

 

このような考えにより開発されたのが、HMG-CoA還元酵素阻害薬である。

 

 

ポイント

HMG-CoA還元酵素の働きを弱めて、コレステロールを減らす

 

HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン製剤)に分類される薬

HMG-CoA還元酵素阻害薬は、「スタンダードスタチン」と「ストロングスタチン」に分類される。

 

名前の通り、LDL-コレステロールを低下させる作用が強いのが「ストロングスタチン」、そしてストロングスタチンより作用が強くないのが「スタンダードスタチン」である。

 

スタンダードスタチンの種類

メバロチン(成分名:プラバスタチン)の特徴

  • 水溶性のため組織へ移行しにくいので、副作用や薬の相互作用が少ない
  • 錠剤タイプだけでなく、細粒タイプも販売されている
  • 胆汁または尿中から排泄される

 

リポバス(成分名:シンバスタチン)の特徴

  • 脂溶性の脂質異常症治療薬
  • 一部の抗真菌薬や抗エイズ薬、C型肝炎治療薬と併用できない(CYP3A4で代謝されるため)

 

ローコール(成分名:フルバスタチン)の特徴

  • 脂溶性の脂質異常症治療薬

 

ストロングスタチンの種類

リピトール(成分名:アトルバスタチン)の特徴

  • 脂溶性の脂質異常症治療薬
  • 一部のC型肝炎治療薬と併用できない(CYP3A4に影響を与えるため)

 

リバロ(成分名:ピタバスタチン)の特徴

  • 脂溶性の脂質異常症治療薬
  • 薬物相互作用が少ない(CYPによる代謝をほとんど受けないため)
  • シクロスポリンと併用できない(副作用が起こりやすくなるため)

 

クレストール(成分名:ロスバスタチン)の特徴

  • 水溶性のため組織へ移行しにくいので、副作用や薬の相互作用が少ない
  • 薬物相互作用が少ない(CYPによる代謝をほとんど受けないため)
  • シクロスポリンと併用できない(副作用が起こりやすくなるため)

 

HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン製剤)の主な副作用

  • 横紋筋融解症(脱力感、筋肉痛、赤みがかった尿、手足のしびれなど)
  • 肝機能障害(吐き気、食欲の低下、体がだるい、白目が黄色くなるなど)
  • 過敏症(蕁麻疹、まぶた・舌・唇の腫れ、発熱、疲れやすいなど)

 

フィブラート系薬の種類

 

フィブラート系薬の特徴

フィブラート系薬は、血中の中性脂肪(トリグリセリド)を減らすことにより、脂質異常症の症状を改善する。

 

中性脂肪の代謝に関わっているのが、PPARαという受容体だ。

 

フィブラート系薬は、PPARαを活性化することにより、脂質代謝を促進する。

 

その結果、フィブラート系薬は血中の中性脂肪(トリグリセリド)を減らすのである。

 

ポイント

PPARαを活性化し、中性脂肪(トリグリセリド)を減らす

 

フィブラート系薬に分類される薬

ベザトールSR(成分名:ベザフィブラート)の特徴

  • 1日2回服用タイプ
  • 透析の人に使えない

 

リピディル、トライコア(成分名:フェノフィブラート)の特徴

  • 1日1回服用タイプ
  • 薬の相互作用が少ない
  • 授乳婦に使えない

 

パルモディア(成分名:ペマフィブラート)の特徴

  • 1日2回服用タイプ
  • 副作用の発現率が低い

 

フィブラート系薬の主な副作用

  • 横紋筋融解症(脱力感、筋肉痛、赤みがかった尿、手足のしびれなど)
  • 肝機能障害(吐き気、食欲の低下、体がだるい、白目が黄色くなるなど)
  • 過敏症(蕁麻疹、まぶた・舌・唇の腫れ、発熱、疲れやすいなど)

 

 

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小腸コレステロールトランスポーター阻害薬

 

小腸コレステロールトランスポーター阻害薬の特徴

小腸コレステロールトランスポーター阻害薬はコレステロールの吸収を抑制する薬で、コレステロールの合成を抑えるHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン系薬)と併用して使われることが多い。

 

小腸にはコレステロールを運ぶシステムが備わっている。

 

そのコレステロールを運ぶシステムというのが、小腸コレステロールトランスポーターである。

 

つまり、コレステロールを運ぶシステムの働きを弱めれば、コレステロールの吸収を抑えられるというわけだ。

 

ゼチーア 作用機序

 

このような考えにより開発されたのが、小腸コレステロールトランスポーター阻害薬である。

 

ポイント

コレステロールを運ぶシステムを弱め、コレステロールの吸収を抑制する

 

小腸コレステロールトランスポーター阻害薬に分類される薬

ゼチーア (成分名:エゼチミブ)の特徴

  • コレステロールの吸収を抑制する薬
  • 薬の相互作用が少ない

 

小腸コレステロールトランスポーター阻害薬の主な副作用

  • 過敏症(蕁麻疹、まぶた・舌・唇の腫れ、発熱、疲れやすいなど)
  • 横紋筋融解症(脱力感、筋肉痛、赤みがかった尿、手足のしびれなど)
  • 肝機能障害(吐き気、食欲の低下、体がだるい、白目が黄色くなるなど)

 

 

EPA・DHA製剤

 

EPA・DHA製剤の特徴

EPA・DHA製剤は「EPA」や「DHA」と呼ばれる不飽和脂肪酸で作られている。

 

不飽和脂肪酸は、中性脂肪(トリグリセリド)を下げる作用があることで知られており、この特性を応用して作られたのがEPA・DHA製剤だ。

 

ポイント

不飽和脂肪酸により、中性脂肪(トリグリセリド)を下げる

 

EPA・DHA製剤に分類される薬

エパデール(成分名:イコサペント酸エチル)の特徴

  • 1日2〜3回服用タイプ
  • EPAのみで構成されている

 

ロトリガ(成分名:オメガ‐3脂肪酸エチル)の特徴

  • 1日1回服用タイプ
  • EPAとDHAで構成されている

 

EPA・DHA製剤の主な副作用

  • 血が止まりにくい
  • 鼻血
  • 青あざができやすい
  • 肝機能障害(吐き気、食欲の低下、体がだるい、白目が黄色くなるなど)

 

 

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陰イオン交換樹脂(レジン)

 

陰イオン交換樹脂(レジン)の特徴

肝臓で作られたコレステロールの一部は、胆汁酸に変換されて消化管へと排泄される。

 

しかし、全ての胆汁酸が体の外へ出ていくわけではない。

 

排泄された胆汁酸の大部分は腸で再吸収され、コレステロールとして再利用される。

 

つまり、胆汁酸が再吸収されなければ、コレステロールを排泄できることがわかる。

 

陰イオン交換樹脂(レジン)は、胆汁酸を吸着する作用をもつ。

 

陰イオン交換樹脂(レジン)が胆汁酸を吸着した結果、胆汁酸が再吸収されなくなる

 

その結果、コレステロールが体の外へ排泄されるようになるのだ。

 

ポイント

胆汁酸を吸着して、コレステロールを体外へ排出させる

 

陰イオン交換樹脂の種類(レジン)に分類される薬

 コレバイン(成分名:コレスチミド)の特徴

  • 食前に服用する薬(原則)
  • 口の中に長く留めていると薬が膨らむことがあるので、コップ1杯の水で速やかに服用しなければならない

 

陰イオン交換樹脂の主な副作用

  • 便秘
  • お腹の張り
  • 吐き気

 

 

ビタミンE製剤

 

ビタミンE製剤の特徴

名前の通り、ビタミンE製剤は"ビタミンE"で作られているので、ビタミンEと同じような働きを期待できる。

 

具体的には、コレステロールや中性脂肪を下げる作用や、血流を良くすることより動脈硬化や手足の冷えを改善する作用などがある。

 

ポイント

コレステロールや中性脂肪(トリグリセリド)を下げるだけでなく、血管を軟らかく保ったり、冷えを和らげる

 

ビタミンE製剤に分類される薬

ユベラN(成分名:トコフェロールニコチン酸)の特徴

  • ビタミンEで作られているため作用は弱め
  • 副作用が少ない

 

ビタミンE製剤の主な副作用

  • 食欲不振
  • 吐き気
  • 下痢
  • 便秘

 

 

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コレステロール異化促進薬

 

コレステロール異化促進薬の特徴

肝臓で作られた一部のコレステロールは、胆汁酸へと変換され、胆汁として排泄される。

 

【コレステロールの排泄】

  1. 一部のコレステロールが胆汁酸へ変換
  2. 胆汁として排泄

 

この一連の流れを促進することにより、LDLコレステロールを下げる働きをするのが、コレステロール異化促進薬だ。

 

ポイント

胆汁酸の排泄を促し、LDLコレステロールを下げる

 

ただし、コレステロール異化促進薬は、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)だけでなく、HDLコレステロール(善玉コレステロール)も下げてしまう可能性がある。

 

HDL-コレステロールが低いと、動脈硬化性疾患になりやすいと言われている。

 

コレステロール異化促進薬に分類される薬

シンレスタール(成分名:プロブコール)の特徴

  • 錠剤タイプ、粉薬タイプが販売されている

 

ロレルコ(成分名:プロブコール)の特徴

錠剤タイプのみ販売されている

 

コレステロール異化促進薬の主な副作用

  • 下痢
  • 腹痛
  • 吐き気
  • QT延長(胸が苦しい、めまい)
  • 横紋筋融解症(脱力感、筋肉痛、赤みがかった尿、手足のしびれなど)

 

 

PCSK9阻害薬

 

PCSK9阻害薬の特徴

PCSK9阻害薬は、LDLコレステロールを減らす働きがある。

 

血中のLDLコレステロールは、肝臓のLDL受容体によって処理されている。

 

しかし、LDL受容体はPCSK9という物質によって、分解されてしまう。

 

つまり、PCSK9の働きを抑えれば、LDL受容体が分解されないので、LDLコレステロールの処理が促進されるというわけだ。

 

このような考えにより開発されたのが、PCSK9阻害薬である。

 

ポイント

PCSK9の働きを抑えて、LDLコレステロールの処理を促す

 

PCSK9阻害薬に分類される薬

 レパーサ(成分名:エボロクマブ)の特徴

  • HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン系製剤)と併用する必要がある

 

プラルエント(成分:名アリロクマブ)の特徴

  • HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン系製剤)を服用できない人も使用可能

 

PCS9阻害薬の主な副作用

  • 糖尿病
  • 注射部位が赤くなる・腫れる

 

 

参考資料

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