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【薬剤師が解説】抗インフルエンザ薬の種類と特徴

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抗インフルエンザ薬は、大きく分けて3種類ある。

 

【主な抗インフルエンザ薬】

  • ノイラミニダーゼ阻害薬
  • キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬
  • M2タンパク阻害薬

 

そこでこの記事では、主な抗インフルエンザ薬の種類や特徴についてまとめてみた。

 

では本題へ。

 

 

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ノイラミニダーゼ阻害薬

 

ノイラミニダーゼ阻害薬の特徴

簡単に説明すると、インフルエンザウイルスは、以下のようなステップで増殖する。

 

【インフルエンザウイルスの増殖】

  1. 細胞の中にインフルエンザウイルスが侵入する
  2. 細胞内でインフルエンザウイルスが自らの複製を大量に作る
  3. 細胞の外へ飛び出し、違う細胞に侵入する
  4. ステップ1〜3を繰り返して増殖していく

 

ノイラミニダーゼ阻害薬が作用するのは、ステップ3の「細胞の外へ飛び出し、違う細胞に侵入する段階」だ。

 

インフルエンザウイルスが細胞内で増殖している段階では、ウイルスと細胞は結合している。

 

そして、次の細胞へ乗り移るとき、ノイラミニダーゼと呼ばれる酵素が、細胞とウイルスの結合を切断する。

 

このように、インフルエンザウイルスは細胞の外へ飛びし、他の細胞に侵入していくのだ。

 

ノイラミニダーゼ阻害薬は、ノイラミニダーゼの働きを阻害し、細胞とウイルスの結合が切断されないようにする

 

その結果、インフルエンザウイルスが新たな細胞に侵入するを防げるため、インフルエンザの症状が和らぐのである。

 

ノイラミニダーゼ阻害薬の種類

タミフル(成分名:オセルタミビル)の特徴

  • A型・B型インフルエンザに有効
  • 飲み薬タイプ
  • カプセルタイプとドライシロップの2種類が販売されている
  • 1日2回 5日間服用する
  • 使用実績が豊富
  • 吸入薬を使うのが難しい小児に使いやすい
  • 重症で生命の危機がある患者への第一選択薬として推奨されている
  • インフルエンザの予防に使われることがある

 

リレンザ(成分名:ザナミビル)の特徴

  • A型・B型インフルエンザに有効
  • 吸入タイプの薬
  • 1日2回 5日間吸入する
  • 喉の痛みが強くて飲み薬を服用できない人に向いている
  • 気管支喘息や COPD の患者には推奨されない(気管支攣縮の報告がある)
  • インフルエンザの予防に使われることがある

 

イナビル(成分名:ラニナミビル)の特徴

  • A型・B型インフルエンザに有効
  • 吸入タイプの薬
  • 1回の吸入で治療が終わるので利便性が高い
  • 喉の痛みが強くて飲み薬を服用できない人に向いている
  • ウイルス消失率はタミフルより優れている
  • インフルエンザの予防に使われることがある

 

ラピアクタ(成分名:ペラミビル)の特徴

  • A型・B型インフルエンザに有効
  • 点滴薬
  • 重症患者への使用が推奨されている
  • 治療開始24時間後の平熱への回復率はタミフルより優れている
  • インフルエンザの予防には使われない

 

ノイラミニダーゼ阻害薬の主な副作用

  • 食欲の低下
  • 吐き気
  • 頭痛
  • 発疹

 

 

キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬

 

キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬の特徴

インフルエンザウイルスは、以下のステップで増殖すると先ほど解説した。

 

【インフルエンザウイルスの増殖】

  1. 細胞の中にインフルエンザウイルスが侵入する
  2. 細胞内でインフルエンザウイルスが自らの複製を大量に作る
  3. 細胞の外へ飛び出し、違う細胞に侵入する
  4. ステップ1〜3を繰り返して増殖していく

 

キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬は、ステップ2の段階で作用する薬だ。

 

少し難しい言葉で解説すると、インフルエンザウイルスは、自身のRNAと呼ばれる遺伝情報からmRNA(メッセンジャーRNA)を作る。

 

mRNAとは情報の運び屋で、mRNAの情報をもとにタンパク質が合成され、インフルエンザウイルスは増殖していく。

 

インフルエンザウイルスがRNAからmRNAを作るときに重要な役割を果たすのが、キャップ依存性エンドヌクレアーゼである。

 

実はインフルエンザウイルスは、自身のRNAに「キャップ構造」というものがくっつていないと、ウイルス増殖に必要なmRNAを作ることができない。

 

そこで、インフルエンザウイルスが持つキャップ依存性エンドヌクレアーゼによって、ヒトのmRNAからキャップ構造を奪い取り、自身のRNAにくっつける

 

その結果、インフルエンザウイルスはmRNAからタンパク質を合成できるようになり、増殖していくのだ。

 

【大まかな流れ】

  1. キャップ依存性エンドヌクレアーゼによって、ヒトのmRNAからキャップ構造を奪う
  2. 奪ったキャップ構造を自身のRNAにくっつける
  3. インフルエンザウイルスのmRNAが作られる
  4. タンパク質が合成され、インフルエンザウイルスが増殖する

 

ここから分かることは、キャップ依存性エンドヌクレアーゼの作用を阻害すれば、インフルエンザウイルはmRNAからタンパク質を合成できなくなるので増殖できなくなるということだ。

 

このような考えから開発されたのが、キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬である。

 

つまり、キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬は、キャップ依存性エンドヌクレアーゼの働きを阻害して、インフルエンザウイルスの増殖を抑制する薬なのだ。

 

キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬の種類

ゾフルーザ(成分名:バロキサビル)の特徴

  • 飲み薬タイプ
  • 1回だけの服用で治療が終わるので利便性が高い
  • 錠剤と粉薬の2タイプが販売されている
  • A型・B型インフルエンザに有効
  • タミフルとの比較試験では、同等の効果があるとの報告がある
  • 使用実績が少ないので、報告されていない副作用の発生リスクを否定できない

 

キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬の主な副作用

  • 下痢
  • ALTの上昇(肝機能の検査値)

 

 

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M2タンパク阻害薬

 

M2タンパク阻害薬の特徴

インフルエンザウイルスは、ヒトの細胞へ侵入した後、自身のRNA(遺伝情報)を細胞内に放出する。

 

この過程を専門用語で脱核(だっかく)と呼ぶ。

 

脱核には、M2タンパクと呼ばれるタンパク質が重要な役割を果たしている。

 

ここから分かることは、M2タンパクの働きを阻害してやれば、インフルエンザウイルスは脱核できなくなるので、インフルエンザウイルスの増殖を抑制できるということだ。

 

このような考えをもとに開発されたのが、M2タンパク阻害薬である。

 

つまり、M2タンパク阻害薬は、インフルエンザが脱核するのを阻害することにより、インフルエンザウイルスが増殖するのを抑える薬なのだ。

 

ちなみに、M2タンパク阻害薬はA型インフルエンザのみに有効で、B型インフルエンザには効果がない。

 

これはB型のインフルエンザウイルスがM2タンパクを持っていないためである。

 

M2タンパク阻害薬の種類

シンメトレル(成分名:アマンタジン)の特徴

  • A型インフルエンザのみに有効
  • 現在はノイラミニダーゼ阻害薬が主流なので使われることはほとんどない
  • パーキンソン病に伴う手足の震えや筋肉のこわばりに使用される
  • 脳梗塞後に低下した意欲・自発性を改善させる
  • 動物実験において胎児の奇形が報告されているので、妊婦・妊娠可能性のある女性は使用できない

 

M2タンパク阻害薬の主な副作用

  • 食欲の低下
  • 吐き気
  • 頭痛
  • めまい

 

参考資料

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