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「かかりつけ薬剤師」は今のままでは絶対に普及しない

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「かかりつけ薬剤師指導料」の新設が話題になっている。

この制度を簡単に言ってしまうと、かかりつけ薬剤師として指名された薬剤師が患者の服用している患者を一元管理し、服薬指導などの業務を行うと、処方箋を受け付ける事に70点を算定できるというものだ。

 

僕は「かかりつけ薬剤師」という考え方は賛成だ。たしかにこの制度が普及できれば、より薬物治療を適切かつ有効に実施できるだろう。

しかし正直なところ、この制度を普及させることはかなり難しいように思う。

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かかりつけ薬剤師のメリット

患者がかかりつけ薬剤師を持つことによって得られるメリットは、服用している薬(市販薬・サプリメントを含む)を一元管理し、同じ薬剤師が継続的に服薬指導をすることによって、安全に薬を服用できるということだ。

 

そして、かかりつけ薬剤師は勤務表を患者に渡して24時間相談に応じる体制を取るので、患者はいつでも薬の相談をかかりつけ薬剤師にできることになる。

しかも3割負担の人なら60円または100円でこれらのサービスを受けることができる。

 

「かかりつけ薬剤師」は普及するのか

いっけん聞こえの良い「かかりつけ薬剤師制度」だが、本当にこの制度は普及するのだろうか。

結論から言うと、僕は正直かなり難しいと思っている。

 

なぜかというと、患者にとって「かかりつけ薬剤師」を持つインセンティブが弱すぎるからだ。

 

先ほど書いた「かかりつけ薬剤師」を持つことのメリットである“薬を一元管理して服薬指導”は今までも当たり前のようにやってきたことだ。

 

以前と違うことは、お気に入りの薬剤師を指名できるかできないかくらいだろう。(キャバクラに比べたら指名料は格段に安いが)

 

指名料のために、毎回余計にお金を払おうと患者が思うかというとかなり難しい気がする。

繰り返すが、基本的には今まで当たり前のように薬剤師がやってきたことだ。

 

今までお金がかからなかったことを、今更「値上げしますね」と言われて納得する患者がいるだろうか。

どう考えても、ほとんどの人がたとえ100円だったとしも払う気にはならないだろう。

 

これが僕が「かかりつけ薬剤師制度」が普及しないと考える理由だ。患者にとってのインセンティブが弱すぎるのである。

 

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薬剤師の認知度を上げることの方が重要

僕は「かかりつけ薬剤師制度」のような立派なものを作る前にやるべきことがあると思っている。それが「薬剤師の仕事」の認知度をもっと上げることだ。

 

「かかりつけ薬剤師制度」を普及させるのならば、まず「薬剤師の仕事の認知度」を上げて薬剤師の仕事の重要性を理解してもらわなければならない。

 

薬剤師がどんな仕事をしているのかをちゃんと知っていなければ、かかりつけ薬剤師のために余計にお金を払おうと思う人はいないだろう。

 

例えば薬剤師は「処方鑑査」という医師の処方せんに不備がないかを確認したり、薬の飲み合わせを確認して、安全に薬を服用できるようにするという重要な仕事をやっているが、これらの仕事は薬剤師が思っている以上に一般の人には知られていない。

 

これらの仕事を認知してもらい、患者自身が「この薬剤師に私の薬を管理してもらいたい」と思ってもらえて、ようやく「かかりつけ薬剤師」は制度として成り立つのである。

 

薬剤師の中には「自分たちの仕事はちゃんと理解されている」と思っている人もいるかもしれないが、それは大きな勘違いだ。

 

残念ながらほとんどの人は、薬剤師が医師の処方せんをもとに薬を出している人くらいにしか認知していないのである。

 

僕は薬学生の時に友人と交わしたある会話が非常に印象に残っている。

その友人は文系大学に通っていたのだけど、某製薬会社にMRとして就職することが決まっていた。

 

その彼が、僕にこんなことを言ってきたのだ。

「薬剤師ってどんな仕事をしているの?」

 

製薬会社に就職するのだから企業研究もやっただろうし、MRがどのような仕事をするのかもちゃんと知っているはずだ。

MRは薬局にもよく出入りするし、薬剤師との関わりが少ないわけではない。

 

そのような人ですら薬剤師の仕事をちゃんと知らないのだから、一般の人は薬剤師のことなんて、もっと知らないと考えることが自然だろう。

 

まず「かかりつけ薬剤師」という見かけだけ立派な制度を作る前に、「薬剤師」を認知してもらい、信頼を得ることから始める必要があると僕は思う

 

以前の記事でも書いたが、お菓子を一包化し「これが薬剤師の仕事です!(`・ω・´)ドヤァ」とか言って、薬剤師が薬を詰めてるだけというイメージを薬剤師自ら助長している場合ではないのだ。

 

まとめ

この前、某MRが「ある薬局では、初回質問表にかかりつけ薬剤師の項目を付け加えるみたいです」という話をしていた。

 

こういうやり方だと、知らぬ間に「かかりつけ薬剤師」ができて負担金が上がっていたということになりかねない。

 

これは大きく薬剤師の信頼を傷つけることにつながるだろう。

薬局側にある70点という大きなインセンティブを利用して、あまり需要のないこの制度を強引に普及しようとする姿勢は個人的にどうかと思う。

 

繰り返しになるが、本当にかかりつけ薬剤師制度を普及しようとするなら、「薬剤師の認知度をもっと上げて信頼を得ること」が必要だ。

 

今回の制度は考え方は立派だけど、それ以前の問題なのである。個人的にはもっとやるべきことがあるだろうと思わざるを得ない。

 

PS:追記→かかりつけ薬剤師の制度設計をインセンティブという視点から再考する

PPS:追記かかりつけ薬剤師になりたくない人が批判されるのはおかしい

 


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