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かかりつけ薬剤師制度は薬剤師の地位を向上するものではない。むしろ信用を失墜させうる爆弾である。

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かかりつけ薬剤師制度を支持する人は、「かかりつ薬剤師制度は薬剤師の地位を向上させる」とよく主張している。

しかし、この主張は正しいのだろうか。

 

結論から言うと、僕は全くそうは思わない。

むしろこの制度は薬剤師の信用を失墜させる爆弾のようなものだと考えている。

 

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かかりつけ薬剤師制度に反対の理由

僕がかかりつけ薬剤師制度に反対の理由は、メリットがほとんどないからだ。

これは過去記事にも何回か書いているが、実質今まで料金がかかっていなかったサービスの値上げである。

 

強引にメリットを挙げるとするならば、「お気に入りの薬剤師の電話番号をゲットできること」くらいだろう。

 

【かかりつけ薬剤師に関する過去記事】

「かかりつけ薬剤師」は今のままでは絶対に普及しない

かかりつけ薬剤師の制度設計をインセンティブという視点から再考する

かかりつけ薬剤師になりたくない人が批判されるのはおかしい

 

先日、同僚である薬剤師の母親(別居している)が、いつの間にかかかりつけ薬剤師の契約をさせられていたので断りに行ってきたという話を聞いた。

サービスを提供している側ですら断るのだから、仮に多少はメリットがあったとしても、お金を払うほどの価値はないということは明白だろう。

 

かかりつけ薬剤師制度はPCデポ事件に似ている

冒頭にも述べたように、僕はかかりつけ薬剤師制度は薬剤師の信用を失墜させる爆弾のようなものだと考えている。

なぜかというと、かかりつけ薬剤師制度はPCデポ事件に状況が非常に似ているからだ。

 

最初にPCデポ事件について簡単に確認しておこう。

PCデポ事件とは、パソコンなどの販売店であるPCデポが、当該高齢者に不要と思われるPCやiPadなどの高額サポートサービスを月額制で提供していたことに端を発する。

それに親族が気づき解約に出向いたところ高額の解約手数料を請求されTwiiter経由で炎上した。

 

下記の記事が詳しいので、詳しく知りたい方はどうぞ。

>>> PCデポ 高額解除料問題 大炎上の経緯とその背景

 

かかりつけ薬剤師制度は、高額解除料はかからないものの以下の点で似ている。

1:メリットがない

1つ目の類似点は、大きなメリットがないという点である。

仕事とは、簡単に言ってしまうと「サービスを受ける側のニーズを満たすこと」である。

つまり、図式化すると以下のようになる。

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上図の交わっている部分が仕事となり、サービスを提供する代わりにお金をもらえるのだ。

しかし、PCデポ事件とかかりつけ薬剤師制度を図式化すると以下のようになる。

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要するにニーズを満たしていないのだ。

この2つの丸が交わっていないのにも関わらず、サービスを提供しているのであれば、これは「だたの押し売り」ということに他ならない。

 

2:高齢者が相手のサービス

2つ目の類似点が、メインターゲットが高齢者であるという点である。

薬剤師として働いているのなら、内容を理解せずに「はい、わかりました」と言ってしまう高齢者は少なくないということを経験的に分かると思う。

 

ここから想像できることは、かかりつけ薬剤師の内容を理解せずに契約してしまう高齢者が一定数は必ずいるということだ。

むしろ多数派の可能性すらありうる。

 

3:ノルマが課されている

3つ目の類似点がノルマが課されているという点だ。

かかりつけ薬剤師制度の場合は、会社によって「ノルマがある会社」と「ノルマがない会社」に分かれると思うが、より問題となりうるのはノルマがある会社である。

 

なぜかというと、ノルマを達成できず上司からキツく詰められるという状況の場合「説明義務を怠り契約を取る」というインセンティブが大きく働くからだ。

誰だって怒られり、社内での評価を低くしたくはない。

 

PCデポ事件でも「ト―ゼンカード」と呼ばれる販売ノルマのカードがあり、それを達成できないと社内での立場が悪くなってしまうという状況だったようだ。

このような状況では「なにがなんでも契約を取ろう」と顧客のニーズを無視しがちになってしまうだろう。

 

もちろん「会社である以上ノルマは必要だ」という意見は正しい。

しかし、それは「ニーズを満たしている」という前提条件が絶対に必要だ。

ニーズを満たしていないサービスを売ってノルマを達成することに価値があるとは僕は到底思えない。

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PCデポのその後

PCデポが炎上の結果どうなったかというと、株価が半分近く下落することになった。

ここから考えられることは「かかりつけ薬剤師制度」も同じような道を辿る可能性が少なからずあるということだ。

 

この前、ある会社が「うちの会社はかかりつけ薬剤師の同意書を1万件以上取れました(`・ω・´)ドヤァ」という記事を読んだのが、僕は「本当にすごい会社だなぁ(こんなメリットのないサービスをたくさん売ることができて)」と思わざるを得なかった。

 

要するに僕が何を言いたいかと言うと、少なくともすでに1万個以上のいつ爆発するか分からない爆弾が設置されているような状況なのである。

PCデポ事件のように、誰かが「うちの母親がいつの間にか、かかりつけ薬剤師の契約をさせられていました」とTwitterでつぶやいて拡散したら、一気に薬剤師の信用は地に落ちるだろう。

 

しかも、かかりつけ薬剤師の場合は、PCデポ事件のように「PCデポがやらかした」では済まない。

ノルマを課して契約を取っている会社のために、「薬剤師がやらかした」と業界全体が被害を被ることになりうるのだ。

 

かかりつけ薬剤師制度に必要なこと

ここまで、かかりつけ薬剤師制度に対して批判的なことを書き連ねてきたが、僕は「薬剤師を有効活用しよう」という点ではこの制度は非常に良いと考えている。

しかし、この制度が機能するには決定的に足りないものがあるように思う。

 

それは何かというと「薬剤師の裁量」だ。

一包化するのでさえ、いちいち医師の許可が必要だというのに、24時間電話対応ができたからといって何か特別できることがあるのだろうか。

 

薬剤師は医師の指示がなければ動けないことがあまりも多すぎる。

これでは両手両足を縛って泳げと言われているようなものである。

 

かかりつけ薬剤師制度は「薬剤師の裁量権拡大」を伴うことにより、初めて機能する

今の状況では、かかりつけ薬剤師は大きなメリットも特にないただの押し売り制度と言わざるを得ない。

 

【追記】

薬剤師の裁量にに関するタイムリーな記事があったのでシェア。

ハードルはかなり高いが、こういう流れが進めばかかりつけ薬剤師制度はお金をとっても問題ない制度になると思う。

>>> 医師以外の職種が主体的に治療方針を提案する新たなチーム医療の試み

 

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まとめ

かかりつけ薬剤師制度は現状では機能しているとは言い難く、下手したら薬剤師の信用を失墜させうる制度だと僕は考えている。

この制度が機能するには「薬剤師の裁量権拡大」が非常に重要だ。

 

2016年10月の中央社会保険医療協議会総会にて、薬剤師の裁量権拡大において非常に重要な「処方権と調剤権の格差是正」について激論が交わされた。

その件に関して薬剤師会の人間が出したコメントが以下のようなものだ。

 

「あらためて処方権、調剤権の議論をする必要もない」

 

\(^o^)/オワタ

 


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