睡眠薬

ベンゾジアゼピン・非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の違い・比較

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日本では、成人の5人に1人が不眠症の症状を訴えていると言われている。不眠症は昼間の眠気・集中力の低下などの原因となり、日常生活に大きな影響を及ぼすため非常に深刻な問題だ。

 

不眠症において重要な役割を果たす薬の1つが、ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系睡眠薬である。そこで、この記事ではベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の違いを比較した。


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ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系の違い

ベンゾジアゼピン系睡眠薬と非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、その化学構造に違いがある

 

ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、その名の通りベンゾジアゼピン系受容体に作用することにより催眠作用を示す。非ベンゾジアゼピン系薬睡眠薬は、ベンゾジアゼピン系睡眠薬とは化学構造は違うものの、ベンゾジアゼピン系睡眠薬と同様にベンゾジアゼピン受容体に作用する。

 

またベンゾジアゼピン系睡眠薬と非ベンゾジアゼピン系薬は、受容体の選択性にも違いがある。ベンゾジアゼピン受容体はω1受容体とω2受容体があり、ω1受容体は催眠作用に関与し、ω2受容体は筋弛緩作用・抗不安作用があると考えられている。

 

非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、ω1受容体への選択性が高く、ω2受容体への作用が弱い。そのため筋弛緩作用が現れにくいので、転倒・ふらつきなどの副作用が少ない。

 

非ベンゾジアゼピン系薬

マイスリー(成分名:ゾルピデム)

アモバン(成分名:ゾピクロン)

ルネスタ(成分名:エスゾピクロン)

 

ベンゾジアゼピン系薬

ハルシオン(成分名:トリアゾラム)

デパス(成分名:エチゾラム)

ロラメット、エバミール(成分名:ロルメタゼパム)

リスミー(成分名:リルマザホン)

レンドルミン(成分名:ブロチゾラム)

サイレース、ロヒプノール(成分名:フルニトラゼパム)

ユーロジン(成分名:エスタゾラム)

ベンザリン、ネルボン(成分名:ニトラゼパム)

エリミン(成分名:ニメタゼパム)

ドラール(成分名:クアゼパム)

 

作用時間の違い

睡眠薬は作用時間(正確には生物学的半減期)の違いによって、超短時間型、短時間型、中間型、長時間型に分類することができる。

 

一般的に「寝つきが悪い」などの症状が現れる入眠障害には超短時間型、短時間型の睡眠薬が使われる。一方、「夜中に起きてしまう」中途覚醒、「朝早くに起きてしまう」早朝覚醒などの熟眠障害には中間型・長時間型が使用される。

 

超短時間型

マイスリー(成分名:ゾルピデム)

アモバン(成分名:ゾピクロン)

ルネスタ(成分名:エスゾピクロン)

ハルシオン(成分名:トリアゾラム)

 

*一般的に作用時間が短い睡眠薬は、服用量が多くなると健忘(物忘れ)が現れやすいと言われている。そのため超短時間型睡眠薬の使用は、少量から服用を開始することが望ましい。

 

超短時間型睡眠薬の添付文書には警告があり「本剤の服用後に、もうろう状態、睡眠随伴症状(夢遊症状等)があらわれることがある。また、入眠までの、あるいは中途覚醒時の出来事を記憶していないことがあるので注意すること。」という記載がある。

 

短時間型

デパス(成分名:エチゾラム)

ロラメット、エバミール(成分名:ロルメタゼパム)

リスミー(成分名:リルマザホン)

レンドルミン(成分名:ブロチゾラム)

 

中間型

サイレース、ロヒプノール(成分名:フルニトラゼパム)

ユーロジン(成分名:エスタゾラム)

ベンザリン、ネルボン(成分名:ニトラゼパム)

エリミン(成分名:ニメタゼパム)

 

*作用時間が長いため、ふらつき・昼間の眠気・力が入りにくいなどの副作用(持越し効果)に注意する必要がある

 

長時間型

ドラール(成分名:クアゼパム)

 

*作用時間が長いため、ふらつき・昼間の眠気・力が入りにくいなどの副作用(持越し効果)に注意する必要がある

 

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適応症の違い

ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系睡眠薬には適応症の違いがある。すべてに共通して、「不眠症(睡眠障害)」の適応症を持つが、それ以外の適応を持つ薬剤もある。

 

麻酔前投与の適応あり

アモバン(成分名:ゾピクロン)

ハルシオン(成分名:トリアゾラム)

リスミー(成分名:リルマザホン)

レンドルミン(成分名:ブロチゾラム)

サイレース、ロヒプノール(成分名:フルニトラゼパム)

ユーロジン(成分名:エスタゾラム)

ベンザリン、ネルボン(成分名:ニトラゼパム)

ドラール(成分名:クアゼパム)

 

異型小発作群、焦点性発作の適応あり

ベンザリン、ネルボン(成分名:ニトラゼパム)

 

その他の適応

デパス(成分名:エチゾラム)

 

デパス(成分名:エチゾラム)は下記のように、多くの適応を持つ。

 

【デパスの適応症】

◎神経症における不安・緊張・抑うつ・神経衰弱症状・睡眠障害

◎うつ病における不安・緊張・睡眠障害

◎心身症(高血圧症,胃・十二指腸潰瘍)における身体症候ならびに不安・緊張・抑うつ・睡眠障害

◎統合失調症における睡眠障害

◎下記疾患における不安・緊張・抑うつおよび筋緊張
頸椎症、腰痛症、筋収縮性頭痛

 

代謝酵素の違い

ベンゾジアゼピン系睡眠薬と非ベンゾジアゼピン系睡眠薬はCYP3A4が代謝に関係している薬剤が多い。そのため、CYP3A4を阻害する作用のある薬剤やCYP3A4を誘導する作用のある薬剤と併用する際は注意が必要である。

 

ユーロジン(成分名:エスタゾラム)とドラール(成分名:クアゼパム)はHIVプロテアーゼ阻害薬リトナビルが併用禁忌となっている。

 

一方、ハルシオン(成分名:トリアゾラム)はイトラコナゾール、フルコナゾール、ホスフルコナゾール、ボリコナゾール、ミコナゾール、HIVプロテアーゼ阻害剤(インジナビル、リトナビル等)、エファビレンツ、テラプレビルが併用禁忌である。

 

【CYP3A4が代謝に関与する睡眠薬】

マイスリー(成分名:ゾルピデム)

アモバン(成分名:ゾピクロン)

ルネスタ(成分名:エスゾピクロン)

ハルシオン(成分名:トリアゾラム)

レンドルミン(成分名:ブロチゾラム)

サイレース、ロヒプノール(成分名:フルニトラゼパム)

ユーロジン(成分名:エスタゾラム)

ドラール(成分名:クアゼパム)

 

リスミー(成分名:リルマザホン)デパス(成分名:エチゾラム)も代謝にCYP3A4が関与するが、添付文書上にはCYPが原因の相互作用による併用注意薬の記載がない。

 

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禁忌の違い

ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は禁忌に違いがある。すべての睡眠薬に共通している禁忌が「重症筋無力症の患者」である。これは睡眠薬による筋弛緩作用により、症状が悪化するためだ。

 

もう1つベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の多くに共通している禁忌が「急性閉塞隅角緑内障の患者」である。これは抗コリン作用によって、眼圧が上昇するためである。

 

しかし、ユーロジン(成分名:エスタゾラム)は抗コリン作用が弱く、緑内障が発生したり、悪化したという報告がないため、使用が可能となっている。

 

【急性閉塞隅角緑内障の患者に使用可】

ユーロジン(成分名:エスタゾラム)

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