パーキンソン病治療薬 薬の基礎知識

病院で処方されるパーキンソン病の薬について分かりやすく解説する

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パーキンソン病とは

パーキンソン病は、運動機能の低下が見られる病気だ。

日本では1000人に1人が発症し、一般的に発症のピークは50歳‐60歳くらいと言われている。

高齢になればなるほど発症しやすくなるが、若い人でも発症することがある。

 

パーキン病の特徴的な症状としては、「手足のふるえ(振戦)」、「筋肉のこわばり」、「動作緩慢」、「姿勢保持障害」などが挙げられる。

 

【パーキンソン病の主な症状】

1:手足のふるえ(振戦)

2:筋肉のこわばり

3:動作緩慢

4:姿勢保持障害

 

手足の震え

手足の震えは、安静時に起こる。

例えばイスに座っている時などに現れやすい。

動かすと、震えは小さくなる。

 

筋肉のこわばり

筋肉のこわばりは、筋肉が硬くなってしまう状態だ。

筋肉が硬直しているため、手足を曲げたりする時に抵抗を感じるようになる。

 

動作緩慢

動作緩慢とは、動作が遅くなったり、動くこと自体が少なくなる状態を指す。

具体的には、「まばたきの減少」、「表情が乏しくなる」、「歩くスピードが他の人よりも遅い」、「寝返りをしない」などが特徴である。

 

姿勢保持障害

姿勢障害とは、姿勢を変えるのが困難になる状態だ。

例えば、誰かとぶつかったときに姿勢を立て直すことが難しいため、そのまま転倒してしまうことがある。

 

パーキンソン病の重症度を示す指標

パーキンソン病の重症度を示す指標に、「ホーエン・ヤールの重症度分類」がある。

これは、Ⅰ~Ⅴの5段階に分けて重症度を示したものだ。

Ⅰが1番軽い症状で、数字が大きくなるにつれて重症度が増す。

 

【ホーエン・ヤールの重症度分類】

◆日常生活には支障がない

ヤールⅠ度:体の片側のみに症状が現れる

ヤールⅡ度:体の両側に症状が現れる

 

◆介助がないと日常生活が困難

ヤールⅢ度:姿勢障害が現れる

ヤールⅣ度:歩行が困難になる

 

◆全面的な介助が必要

ヤールⅤ度:寝たきり状態で、移動には車椅子が必要

 

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パーキンソン病の原因

パーキンソン病は、錐体外路(すいたいがいろ)神経系の異常が原因となって発症する。

錐体外路を簡単に説明すると、脳が送るシグナルの通り道である。

 

体を動かそうとする時、脳はシグナルを出す。

そのシグナルは錐体外路を通り、「体を動かせ」という命令を全身に伝えるのだ。

 

体の動きをスムーズにする役割を果たすのが錐体外路であるため、錐体外路に異常があると「体の動きがぎこちなくなる」、「動きが遅くなる」などの症状が現れるようになる。

 

【Point!】

錐体外路とは、脳が送るシグナルの通り道

 

では錐体外路に異常が現れる原因とは何か。

それはドパミン神経の機能低下だ。

 

パーキンソン病では、脳内の黒質-線条体系と呼ばれる部位のドパミン神経細胞が変性・脱落している。

ドパミン神経は体を動かしたり、姿勢を保つのに重要な役割を果たしているため、ドパミン神経の機能が低下すると運動機能障害が起こるのだ。

 

またドパミン神経の変性・脱落に伴い、コリン作動性神経の機能が優位になった結果、パーキンソン病の症状が現れるとも考えられている。

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病院で使われるパーキンソン病の薬

パーキンソン病は、前述の通り「ドパミン神経の機能が低下する」または「コリン作動性神経の機能が相対的に強くなる」ことが原因となって、引き起こされる。

 

そのため、パーキンソン病の薬物治療では、「ドパミン神経の機能を強める」または「コリン作動性神経の機能を弱め、ドパミン神経とコリン作動精神系のバランスを保つ」という2つのアプローチが取られる。

 

パーキンソン病に使われる薬には、以下のようなものがある。

 

抗コリン薬

パーキンソン病では、ドパミン神経に比べてコリン作動神経の機能が強まっている。

抗コリン薬は、コリン作動性神経の機能を弱めることにより、ドパミン神経とコリン作動神経のバランスを改善する。

 

特にパーキンソン病の初期にみられる「手足のふるえ(振戦)」に対して有効とされる。

抗コリン薬の主な副作用には「便秘」、「口の渇き(口渇)」などがある。

 

【主な抗コリン薬】

アーテン、トレミン(成分名:トリヘキシフェ二ジル)

アキネトン(成分名:ビペリデン)

トリモール(成分名:ピロヘプチン)

パーキン(成分名:プロフェナミン)

ペントナ(成分名:マザチコール)

 

ドパミンアゴニスト

ドパミンアゴニストは、ドパミン受容体を刺激することにより、ドパミン神経の機能を強める薬だ。

ドパミンアゴニストの主な副作用には「食欲の低下」や「吐き気」などの消化器症状や、眠気などが多い。

 

【主なドパミンアゴニスト】

パーロデル(成分名:ブロモクリプチン)

ペルマックス(成分名:ペルゴリド)

カバサール(成分名:カベルゴリン)

ビ・シフロール、ミラペックスLA(成分名:プラミペキソール)

レキップ(成分名:ロピニロール)

ドミン(成分名:タリペキソール)

ニュープロパッチ(成分名:ロチゴチン)

 

レボドパ製剤

レボドパ製剤は、脳内に入った後にドパミンに変換され、ドパミン神経の機能を高める作用を発揮する。

なぜ脳内に入った後に変換されないといけないのかというと、そのままの状態ではドパミンは脳内へ入ることができないためだ。

 

レボドパ製剤の主な副作用には「食欲の低下」や「吐き気」、「幻覚」、「不随意運動」などがある。

 

*不随意運動とは

「口をモグモグさせる」、「手や足をくねらせるような動きをする」など

 

【主なレボドパ製剤】

メネシット、ネオドパストン(成分名:レボドパ+カルビドパ)

マドパー、ネオドパゾール、イーシー・ドパール(成分名:レボドパ+ベンセラジド)

 

MAO-B阻害薬

ドパミンを分解する酵素の1つに、MAO-Bがある。

パーキンソン病ではドパミンが減少しているために、運動機能に障害が現れる。

 

そこでMAO-B阻害薬を使い、MAO-Bの働きを抑制する。

こうすることにより、ドパミンの分解を抑制できるのだ。

その結果、ドパミンの量が増え、パーキンソン病の症状を改善される。

 

MAO-B阻害薬の主な副作用には「吐き気」、「便秘」、「眠気」などがある。

 

MAO-B阻害薬】

エフピー(成分名:セレギリン)

ラサジリン

 

COMT阻害薬

パーキンソン病治療薬の1つにレボドパがある。

服用したレボドパは、通常であれば脳内に入る前にドパミンに変換されてしまい、脳内に入ることができなくなってしまう。

つまり薬として作用するためには、脳に入るまではレボドパのままでいる必要があるのだ。

 

脳内に入る前に、レボドパをドパミンに変換してしまう酵素の1つがCOMTである。

つまりCOMTの働きを阻害できれば、レボドパのまま脳内に入れるので、薬の効果を高めることができるということだ。

 

このような作用機序により、パーキンソン病の症状を改善するのがCOMT阻害薬である。

薬の性質上、単体では用いられず、レボドパと併用される。

 

COMT阻害薬の主な副作用には「不随意運動」、便秘や吐き気などの「消化器症状」、不眠、妄想などの「精神症状」がある。

 

【主なCOMT阻害薬】

コムタン(成分名:エンタカポン)

 

ノルアドレナリン補充薬

パーキンソン病では、ドパミンだけではなくノルアドレナリンも減少している。

これはドパミンがノルアドレナリンの材料だからだ。

 

そこでノルアドレナリン補充薬を服用し、ノルアドレナリンを補給する。

そうすることにより、パーキンソン病に見られる「すくみ足」や「立ちくらみ」を改善することができる。

 

*すくみ足

足が地面に張り付いたようになり、前のめりになりやすくなる。

転倒の原因となることが多い。

 

主な副作用には、「血圧上昇」や「動悸」、便秘や吐き気などの「消化器症状」、「めまい」、「頭痛」などがある。

 

【主なノルアドレナリン補充薬】

ドプス(成分名:ドロキシドパ)

 

ドパミン遊離促進薬

パーキンソン病の治療では、ドパミンの作用を強めることが重要だ。

ドパミン遊離促進薬は、その名の通り神経細胞からのドパミン遊離を促し、パーキンソン病の症状を改善する薬である。

 

主な副作用には、口が渇く、便秘、吐き気などの「消化器症状」、幻覚、妄想などの「精神症状」がある。

 

【主なドパミン遊離促進薬】

シンメトレル(成分名:アマンタジン)

 

ドパミン代謝賦活薬

ドパミン代謝賦活薬は、ドパミン合成を手助けする薬だ。

前述の通り、パーキンソン病ではドパミンの量が減少している。

そのため、ドパミン量を増やすことが重要なのだ。

 

ドパミンはチロシンと呼ばれる物質から合成されている。

そのためチロシンからの合成を促進できれば、ドパミン量を増やせることが分かる。

 

ドパミン代謝賦活薬は、チロシンからドパミンを作る過程に関与している酵素の作用を強める薬だ。

その結果、ドパミン合成が促され、パーキンソン病の症状が改善される。

 

ドパミン代謝賦活薬の主な副作用は、「吐き気」、「便秘」、「眠気」などがある。

 

【主なドパミン賦活薬】

トレリーフ(成分名:ゾニサミド)


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