【認知症治療薬】「コリン仮説」と「グルタミン酸仮説」の違いとは?

アルツハイマー型認知症とは

厚生労働省の発表では、65歳以上の高齢者における認知症の推定患者数は400万人以上にも及ぶ。

認知症の中でも、半数以上をしめるのが「アルツハイマー型認知症」だ。

アルツハイマー型認知症の特徴が、脳における「老人斑」と「神経原線維変化」である。

老人斑は、アミロイドベータタンパク質が神経細胞の外に沈着したものだ。

一方、神経原線維変化は、リン酸化されたタウタンパク質によって、細胞内に線維が作られることにより生じる。

これら2つの変化によって細胞の機能不全が起こり、アルツハイマー型認知症が発症すると考えれている。

【アルツハイマー型認知症の原因】

◆老人斑

◆神経原線維変化

アルツハイマー病の薬物療法

アルツハイマー型認知症の治療薬は、老人斑や神経原線維変化を改善するものではない。

あくまでも症状の進行を遅らせる薬である。

アルツハイマー型認知症の薬物療法を知る上で重要なのが、「コリン仮説」と「グルタミン酸仮説」だ。

これら2つの仮説によって、アルツハイマー型認知症治療薬は作られている。

【Point!】

「コリン仮説」と「グルタミン酸仮説」に基づいて、アルツハイマー型認知症治療薬は作られている

コリン仮説とは

コリン仮説とは、「脳内におけるアセチルコリンが減少することによって認知症の症状が現れる」という仮説だ。

アセチルコリンは情報を伝達する物質で、量が減ることによって認知機能に悪影響を及ぼすと考えられている。

アセチルコリンが減っているのであれば、アセチルコリンを増やす薬を服用すれば良い。

アセチルコリンは「アセチルコリンエステラーゼ」と呼ばれる酵素によって分解されてしまう。

つまりアセチルコリンエステラーゼの働きを阻害してしまえば、アセチルコリンの分解が抑制される。

その結果、アセチルコリンの量が増えるというわけだ。

このようなコリン仮説に基づいた薬としては、以下のようなものがある。

【コリン仮説に基づいた薬】

アリセプト(成分名:ドネペジル)

レミニール(成分名:ガランタミン)

イクセロン、リバスタッチ(成分名:リバスチグミン)

それぞれの薬の違いについては、以下の記事に詳しくまとめた。

興味があればチェックしてほしい。

>>> アリセプト、レミニール、リバスタッチ・イクセロンの違い・比較

グルタミン酸仮説とは

グルタミン酸仮説は、「記憶に関与する伝達物質グルタミン酸が関与している」と考える仮説だ。

グルタミン酸は、脳における情報伝達に大きく関与している。

アルツハイマー型認知症患者では、グルタミン酸の量が多くなっていることが分かっている。

グルタミン酸の量が多くなると情報伝達の過程でノイズが入り、情報が伝達されてもノイズに情報が埋もれてしまう。

その結果、記憶を正常に作れなくなるのだ。

ここから分かることは、ノイズの入った情報伝達を抑え、記憶形成に必要な情報伝達だけ行われるようにすれば、アルツハイマー型認知症の進行を抑えられるということだ。

このようなグルタミン仮説に基づいた薬としては、以下のようなものがある。

【グルタミン酸仮説に基づいた薬】

メマリー(成分名:メマンチン)

コリン仮説の薬とグルタミン酸仮説の薬は併用できる

「コリン仮説に基づいた薬」と「グルタミン酸仮説に基づいた薬」は併用することにより、相乗効果を期待できることが分かってきた。

このような事実からも、コリン仮説とグルタミン仮説は密接に関わっているということが推測される。