漢方薬

生薬とはどんな薬?-漢方薬との違い-

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「生薬」という名前を聞いたことがあっても、どんな薬なのか分からない人は多い。

よくある勘違いが「漢方薬と生薬は同じ」というものだろう。

 

しかし、実はこの2つは全く違うものだ。

そこで、この記事では生薬の概要についてまとめた。

 

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生薬とは

日本薬局方と呼ばれる医薬品の規格基準書では、生薬は以下のように定義されている。

 

生薬は動植物の薬用とする部分、細胞内容物、分泌物、抽出物または鉱物などであり、生薬総則及び生薬試験法を適用するもの

 

おそらくこの表現では、ほとんどの人がよく分からないと思う。

 

生薬とは簡単に説明すると「薬としての作用を持つ天然物」だ。

つまり「植物の根」、「牛の結石」、「ミツバチの分泌物」などの天然物を精製加工せずに薬として使うということである。

 

生薬と漢方薬の違い

よくある疑問が「生薬と漢方薬は何が違うのか」ということだ。

 

結論から言うと、生薬は漢方薬を構成する原料のことを指す。

つまり、漢方薬とは複数の生薬を原料にして作られた医薬品ということである。

 

例えば、風邪に使う有名な漢方薬として葛根湯がある。

葛根湯は、葛根・甘草・桂枝・芍薬・生姜・大棗・麻黄といった生薬で作られている。

 

【生薬とは】

生薬は漢方薬を構成する原料

 

【漢方薬とは】

2種類以上の生薬を組み合わせた医薬品

 

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生薬の分類

生薬は大きく分けて3つに分類される。

それが「植物性」、「動物性」、「鉱物性」の3つだ。

 

植物性

ほとんどの生薬が植物性に分類される。

葉っぱ、根っこ、種、皮など植物の一部分が薬と使用されることが多い。(一部の生薬では植物全体を使う)

代表的な植物性生薬には、以下のようなものがある。

 

【代表的な植物性生薬】

◆葛根(かっこん)

◆人参(にんじん)

◆甘草(かんぞう)

 

動物性

動物性の生薬は、名前の通り動物由来の生薬だ。

代表的な動物性生薬としては、牛の結石である牛黄 (ゴオウ)、ミツバチの分泌物であるローヤルゼリー、牡蠣の貝がらである牡蠣 (ボレイ)などが挙げられる。

 

【代表的な動物性生薬】

◆牡蠣 (ボレイ)

◆ローヤルゼリー

◆牛黄 (ゴオウ)

 

鉱物性

鉱物性の生薬には、含水硫酸カルシウムである石膏 (セッコウ)、大型哺乳類の骨である竜骨(りゅうこつ)がある。

 

【代表的な鉱物性生薬】

◆竜骨(りゅうこつ)

◆石膏 (セッコウ)

 

生薬はどのように効くのか

生薬はどのように効くのか。

実を言うと、どのように薬効が現れるのか詳細は分かっていない

 

これは生薬に含まれる複数の有効成分が複合的に作用し合うことにより、薬効が得られるためだ。

要するに作用機序が複雑であるため、評価が難しいのである。

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上薬・中薬・下薬の違い

生薬は、毒性・副作用により上薬・中薬・下薬の3種類に分類される。

 

上薬

上薬は「無毒で命を養う薬」とされる。

要するに体にとって良い成分ということだ。

多量又は長期にわたって服用しても人体に害はない。

 

【主な上薬】

◆黄連(おうれん)

◆甘草(かんぞう)

◆細辛(さいしん)

◆地黄(じおう)

◆辛夷(しんい)

◆蒼朮(そうじゅつ)

◆大棗(たいそう)

◆人参(にんじん)

◆麦門冬(ばくもんどう)

◆白朮(びゃくじゅつ)

◆茯苓(ぶくりょう)

◆防風(ぼうふう)

◆牡蠣(ぼれい)

◆ヨクイニン

◆龍骨(りゅうこつ)

 

中薬

中薬は「体質の改善に使われる薬」である。

有毒なものと無毒なものがあり、適切な量で使わなければならない。

また、上薬の効果を補助する働きがある。

 

【主な中薬】

◆黄芩(おうごん)

◆葛根(かっこん)

◆乾姜(かんきょう)

◆枳実(きじつ)

◆杏仁(きょうにん)

◆厚朴(こうぼく)

◆呉茱萸(ごしゅゆ)

◆柴胡(さいこ)

◆芍薬(しゃくやく)

◆石膏(せっこう)

◆川芎(せんきゅう)

◆当帰(とうき)

◆桃仁(とうにん)

◆防已(ぼうい)

◆牡丹(ぼたん)

◆猪苓(ちょれい)

◆麻黄(まおう)

 

下薬

下薬は「実際に病気を治療する薬」である。

効果は高いが、毒性が強いため長く服用してはいけない。

現代において使われる医薬品をあえて分類するなら下薬に属する。

 

【主な下薬】

◆黄柏(おうばく)

◆桔梗(ききょう)

◆附子(ぶし)

◆大黄(だいおう)

◆半夏(はんげ)

◆連翹(れんぎょう)

 

生薬の作り方

前述の通り、生薬は有効成分を精製加工せずに薬として使用するものだ。

しかし、薬用部位を生薬として、すぐにそのまま使えるという意味ではない

あくまでも”有効成分”を精製加工しないということである。

 

薬として使うには乾燥させたり、砕いたり、不純物をそぎ落とすなどの加工をする必要があるのだ。

生薬製剤には大きく分けて「エキス剤」、「流エキス剤」、「チンキ剤」の3つがある。

 

エキス剤

生薬の浸出液を濃縮して精製したもの。

さらに軟エキス剤、乾燥エキス剤に分類できる。

 

流エキス剤

エキス剤を液状化したもの。

要するに生薬の浸出液である。

 

チンキ剤

水やエタノールを使って、生薬の有効成分を抽出したもの。

 

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主な生薬の基原・薬効

最後に主な生薬の基原と薬効についてまとめた。

 

黄耆(おうぎ)

【基原】

マメ科のキバナオウギ、ナイモオウギ

 

【薬効】

抗アレルギー作用、利尿作用、血圧効果作用、強壮、抗ストレスなど

 

甘草(かんぞう)

【基原】

マメ科のスペインカンゾウおよびウラルカンゾウの根

 

【薬効】

抗アレルギー、抗ウイルス、ステロイド様作用など

 

牛黄(ごおう)

【基原】

牛の結石

 

【薬効】

解熱・鎮痛作用、抗炎症作用、鎮痙作用、利胆作用(胆汁の分泌促進)、強心作用など

 

五味子(ごみし)

【基原】

マツブサ科チョウセンゴミシの成熟果実

 

【薬効】

疲労回復、抗アレルギー作用、利尿作用、抗ストレス作用など

 

地黄(じおう)

【基原】

ゴマノハグサ科のアカヤジオウ、カイケイジオウの根。

または根を蒸したもの。

 

【薬効】

強壮、利尿作用、血糖降下作用、下痢の緩和作用など

 

人参(にんじん)

【基原】

オタネニンジン、チョウセンニンジン、コウライニンジンの細根を除いた根を乾燥させたもの

またはこれを軽く湯通して乾燥させたもの

 

【薬効】

不妊、冷え性、抗動脈硬化、抗ストレス作用など

 

大棗(たいそう)

【基原】

クロウメモドキ科ナツメの果実

 

【薬効】

利尿作用、強壮作用、精神安定作用など

 

当帰(とうき)

【基原】

セリ科トウキ、ホッカイトウキ、カラトウキの根

 

【薬効】

鎮痛・鎮静作用、強壮作用など

 

杜仲(とちゅう)

【基原】

トチュウ科トチュウの樹皮

 

【薬効】

強壮、鎮痛、虚弱体質の改善、利尿作用、血圧効果作用など

 

冬虫夏草(とうちゅうかそう)

【基原】

子嚢菌類、バッカクキン科のフユムシナツクサタケが産生する子実体およびその寄主である昆虫の幼虫を乾燥させたもの。

 

【薬効】

免疫力の強化、滋養強壮、疲労回復など

 

麦門冬(ばくもんどう)

【基原】

ユリ科ジャノヒゲの根の肥大部を乾燥したもの

 

【薬効】

滋養強壮、咳止め、血糖降下作用、去痰、抗炎症作用など

 

茯苓(ブクリョウ)

【基原】

サルノコシカケ科マツホドの菌核

 

【薬効】

免疫を強める作用、利尿作用、血液凝固抑制作用、血糖降下作用など

 

ローヤルゼリー

【基原】

ヨーロッパミツバチまたはトウヨウミツバチの咽頭腺から出す分泌物

 

【薬効】

新陳代謝促進、滋養強壮、疲労回復、更年期障害の改善

 

まとめ

生薬は漢方薬の原料で、薬としての作用を持つ天然物である。

それぞれの生薬には複数の薬効があり、これらが複合的に作用することにより薬としての効果を発揮する。

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