統合失調症治療薬

定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬の違い・比較

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統合失調症は、精神疾患の中でも、特に罹患率が高いことで知られている疾患だ。人種や性別に関係なく発症し、日本では60万人以上の患者がいるとされる。

 

統合失調症の治療に使われる薬は、大きく分けて2種類に分類することができる。それが「定型抗精神病薬」と「非定型抗精神病薬」だ。そこで、この記事では「定型抗精神病薬」と「非定型抗精神病薬」の違いについて比較した。


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統合失調症の症状

統合失調症とは、精神機能に障害を生じる疾患のことを指す。症状は「幻覚、幻聴、妄想」などの陽性症状「意欲・気力の低下、感情の鈍麻、引きこもり」などの陰性症状に分類することができる。

 

陽性症状は、ドパミンと呼ばれる神経伝達物質の分泌が過剰になることよって引き起こされる。一方、陰性症状はドパミンよりもセロトニンの働きが優位になることによって引き起こされると考えられている。

 

【統合失調症の症状】

陽性症状:幻覚、幻聴、妄想

陰性症状:意欲・気力の低下、感情の鈍麻、引きこもり

 

統合失調症の原因

統合失調症が発症する原因は、セロトニン・ドパミンなどの脳内神経伝達物質の乱れだと言われている。神経伝達物質の乱れは「遺伝」、「心理的、社会的、身体的なストレス」が組み合わさって発症すると考えられている。

 

【統合失調症の原因】

・遺伝

・心理的、社会的、身体的なストレス

・脳内の神経伝達物質の乱れ

 

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開発時期の違い

抗精神病薬は「定型抗精神病薬」と「非定型抗精神病薬」に分類することができる。これらには「開発された時期」、「作用機序」、「副作用」の違いが見られる。

 

まず開発された時期だが、定型抗精神病薬の方が歴史の長い薬である。最初に販売された定型抗精神病薬はクロルプロマジン(商品名:コントミン、ウインタミン)で、1955年までさかのぼる。一方、非定型抗精神病薬は2000年代以降に開発されたもので、新しいタイプの薬剤である。

 

【開発時期の違い】

定型抗精神病薬:1950年代以降

非定型抗精神病薬:2000年代以降

 

作用機序の違い

定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬には、作用機序の違いがある。

 

定型抗精神病薬の作用機序

定型抗精神病薬はドパミンD₂受容体を遮断し、過剰に働くドパミンの作用を鎮静化することにより、その作用を発揮する。

 

前述のとおり、統合失調症の陽性症状は、ドパミンが過剰に働くことによって生じる。そのため、ドパミンの働きを抑制する定型向精神薬は、統合失調症の陽性症状への効果が特に期待できる。一方、陰性症状の改善作用はあまり期待できない。

 

【定型向精神薬の作用機序】

ドパミンD₂受容体の遮断作用

 

非定型抗精神病薬の作用機序

非定型抗精神病薬は、作用機序によって3つに分類することができる。それが「D₂受容体・5-HT₂受容体遮断薬」、「多元受容体作用抗精神病薬(MARTA)」、「ドパミン・システム・スタビライザー(DSS)」である。

 

これらの薬剤はドパミンD₂受容体を遮断することは共通しているが、それに加えて5-HT₂受容体を遮断する作用がある。5-HT₂受容体を遮断することのメリットは、定型抗精神病薬では効果が期待できない陰性症状への効果を期待できることだ。

 

前述の通り、陰性症状はドパミンよりもセロトニンの働きが優位になることによって引き起こされると考えられている。

 

非定型抗精神病薬は、5-HT₂受容体を遮断することにより、ドパミンの放出を抑制するセロトニンの働きを弱め、ドパミンの量を増加させる。その結果、ドパミンとセロトニンのバランスが取れるため、陰性症状への効果が期待できるのである。

 

【D₂受容体・5-HT₂受容体遮断薬】

リスパダール(成分名:リスペリドン)

インヴェガ(成分名:パリペリドン)

ルーラン(成分名:ペロスピロン)

ロナセン(成分名:ブロナンセリン)

 

【多元受容体作用抗精神病薬(MARTA)】

セロクエル(成分名:クエチアピン)

ジプレキサ(成分名:オランザピン)

 

【ドパミン・システム・スタビライザー(DSS)】

・エビリファイ(成分名:アリピプラゾール)

 

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副作用の違い

定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬には、副作用に違いがある。定型抗精神病薬では、高プロラクチン血症や錐体外路症状の副作用を生じやすいというデメリットがあった。

 

高プロラクチン血症は、その名の通り、プロラクチンの値が高くなる疾患で、不妊や生理不順の原因となる。一方、錐体外路症状では「筋肉のこわばり」、「動作が遅くなる」、「ふるえ(振戦)」の症状が見られる。

 

これらの副作用は、ドパミンD₂受容体を遮断されることが原因となって、引き起こされる。そのため、ドパミンの分泌を促す非定型抗精神病薬は、高プロラクチン血症・錐体外路症状の副作用が生じにくい。

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