高血圧治療薬

主なACE阻害薬の違い・比較

更新日:

高血圧症は、通常よりも血圧が高い状態だ。

血圧が高い状態が続くと、血管に負担がかかり、少しずつ血管が硬くなっていく。

これは「動脈硬化」と呼ばれ、脳梗塞・心筋梗塞・狭心症などの引き金になりうる。

このような合併症を予防するためにも、血圧を適切にコントロールする必要があるのだ。

 

高血圧治療に欠かせない薬の1つが、アンジオテンシンⅡ変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)だ。

そこでこの記事では、主なアンジオテンシンⅡ変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)の違いについてまとめた。

 

スポンサーリンク

ACE阻害薬とは

血圧を上げる物質の1つに、「アンジオテンシンⅡ」がある。

つまりアンジオテンシンIIが作られないようにすれば、血圧を下げられるということだ。

 

アンジオテンシンⅡ変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)の作用点は、その名の通り「アンジオテンシン変換酵素(ACE)」だ。

アンジオテンシン変換酵素(ACE)はアンジオテンシンⅠに作用する酵素で、作用することにより血圧を上昇させるアンジオテンシンⅡを産生する。

 

ここから分かることは、アンジオテンシン変換酵素(ACE)の作用を阻害してしまえば、血圧上昇の原因であるアンジオテンシンⅡが産生されなくなるということである。

 

このような作用機序により血圧を下げるのが、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)だ。

ACE阻害薬 作用機序

つまりアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)は、アンジオテンシン変換酵素(ACE)を阻害することによって、アンジオテンシンⅡの産生を抑制し、血圧を下げるのである。

 

適応症の違い

アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)というと「高血圧症」の薬というイメージしかないかもしれない。

しかし、高血圧症以外の疾患に対する適応を持つアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)もある。

 

腎性高血圧症の適応があるACE阻害薬

カプトリル錠(成分名:カプトプリル)

レニベース錠(成分名:エナラプリル)

*腎性高血圧症:腎臓の病気が原因となって引き起こされる高血圧症

 

腎血管性高血圧症の適応があるACE阻害薬

カプトリル錠(成分名:カプトプリル)

レニベース錠(成分名:エナラプリル)

エースコール錠(成分名:テモカプリル)

*腎血管性高血圧症:腎臓の血管が狭まることにより、引き起こされる高血圧症

 

悪性高血圧症の適応があるACE阻害薬

カプトリル錠(成分名:カプトプリル)

レニベース錠(成分名:エナラプリル)

*悪性高血圧症:急激な血圧上昇が起こり、心臓・脳・腎臓などに障害を与えうる高血圧症

 

慢性心不全の適応があるACE阻害薬

レニベース錠(成分名:エナラプリル)

ロンゲス錠(成分名:リシノプリル)

 

腎実質性高血圧症の適応があるACE阻害薬

タナトリル錠(成分名:イミダプリル)

エースコール錠(成分名:テモカプリル)

*腎実質性高血圧症:腎臓の病気が原因となって引き起こされる高血圧症

 

1型糖尿病に伴う糖尿病性腎症の適応があるACE阻害薬

タナトリル錠(成分名:イミダプリル)

 

スポンサーリンク

構造式の違い

アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)は、その構造式中にSH基を持つかCOOH基を持つかで分類することができる。

 

SH基を持つACE阻害薬では、味覚障害を起こすという報告がある。

これはSH基が亜鉛とキレートを形成した結果、亜鉛不足が生じるためと言われている。

一方、COOH基を持つACE阻害薬では、味覚障害の副作用が起こりにくくなっている。

 

SH基を持つACE阻害薬

カプトリル錠(成分名:カプトプリル)

 

COOH基を持つACE阻害薬

エースコール錠(成分名:テモカプリル)

コバシル錠(成分名:ぺリンドプリル)

タナトリル錠(成分名:イミダプリル)

ロンゲス錠(成分名:リシノプリル)

レニベース錠(成分名:エナラプリル)

排泄経路の違い

ACE阻害薬は、腎排泄型の薬が多い。

しかし、なかには胆汁から排泄されるタイプの薬もある。

そのため腎機能に問題がある人には、排泄経路を考慮して薬が選択される。

 

腎排泄のACE阻害薬

カプトリル錠(成分名:カプトプリル)

コバシル錠(成分名:ぺリンドプリル)

タナトリル錠(成分名:イミダプリル)

ロンゲス錠(成分名:リシノプリル)

レニベース錠(成分名:エナラプリル)

 

腎排泄+胆汁排泄のACE阻害薬

エースコール錠(成分名:テモカプリル)

 

スポンサーリンク

プロドラッグであるかの違い

プロドラッグは薬が体内で代謝されることによって、効果を発揮する薬の総称だ。

ACE阻害薬は、プロドラッグかプロドラッグではないかによって分類が可能である。

プロドラッグの利点については、以下の記事参照。

>>> アンテドラッグとプロドラッグの違い-それぞれの作用と代表的な薬-

 

プロドラッグのACE阻害薬

コバシル錠(成分名:ぺリンドプリル)

タナトリル錠(成分名:イミダプリル)

レニベース錠(成分名:エナラプリル)

エースコール錠(成分名:テモカプリル)

 

プロドラッグではないACE阻害薬

カプトリル錠(成分名:カプトプリル)

ロンゲス錠(成分名:リシノプリル)

 

そのほかの薬の違いについては、以下のページからどうぞ。

>>> 他の医薬品の違い・比較を見る

RELATED

-高血圧治療薬

Copyright© 週刊 薬剤師日記 , 2018 All Rights Reserved.