副作用 糖尿病治療薬

メトグルコによる乳酸アシドーシスはどのように起こるのか-発症機序と症状について解説-

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代表的な2型糖尿治療薬にメトグルコ(成分名:メトホルミン)がある。

使用経験が豊富なメトグルコ(成分名:メトホルミン)だが、乳酸アシドーシスと呼ばれる副作用が有名だ。

 

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乳酸アシドーシスとは

乳酸アシドーシスとは、乳酸が血中に溜まった結果、血液が著しく酸性に傾いた状態のことを指す。

特にメトグルコ(成分名:メトホルミン)の服用を開始したばかりの時期や服用量が多くなった時に乳酸アシドーシスは現れやすい。

そのためメトグルコ(成分名:メトホルミン)は優れた薬だが、使用する際は注意が必要である。

 

【乳酸アシドーシスとは】

◆乳酸が血中に溜まった結果、血液が酸性に傾いた状態

 

乳酸アシドーシスの症状

乳酸アシドーシスの初期症状には吐き気、嘔吐、腹痛、下痢などの胃腸症状や力が入らない、筋肉痛、手足のふるえ、体がだるい、胸の痛み、腰痛などがある。

 

【乳酸アシドーシスの初期症状】

◆胃腸症状(吐き気、嘔吐、腹痛、下痢)

◆力が入らない

◆筋肉痛

◆体がだるい

◆手足のふるえ

◆胸の痛み

◆腰痛

 

さらに症状が進行すると、過呼吸全身の痙攣、傾眠(ウトウトした状態)、低血圧・低体温などが現れる。

そして数時間放置すると昏睡状態に陥り、最悪の場合は死に至る。

 

【乳酸アシドーシスが進行した場合の症状】

◆過呼吸

◆全身の痙攣

◆傾眠(ウトウトした状態)

◆低血圧・低体温

 

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乳酸アシドーシスの発症機序

ではなぜメトグルコ(成分名:メトホルミン)の服用により、乳酸アシドーシスが引き起こされるのか。

これを理解するには、グルコース(ブドウ糖)がどのように代謝されるかを知る必要がある。

 

グルコースの代謝経路は大きく分けて2つある。

それが好気性条件下(酸素がある状態)における代謝経路嫌気性条件下(酸素がない状態)での代謝経路だ。

 

酸素がない状態では、グルコースから乳酸が作られる。

(ちなみにスポーツをしている時に疲れを感じるのは、酸素が少なくなって乳酸がたまるため)

 

【酸素がない時】(嫌気性条件下)

グルコース(ブドウ糖)

ピルビン酸

乳酸

 

そして酸素がある状態では、グルコースからATP(エネルギー)が作られる。(詳細は以下)

 

【酸素がある時】(好気性条件下)

グルコース(ブドウ糖)

ピルビン酸

アセチルCoA

TCAサイクル

電子伝達系

ATP

 

 

メトグルコ(成分名:メトホルミン)は、電子伝達系の働きを阻害する作用がある。

そのため好気性条件下での反応が進まなくなり、嫌気性条件下での反応が優位に進むようになってしまう

その結果ピルビン酸から乳酸が作られるようになり、血中に乳酸が溜まるようになるのだ。

 

【乳酸アシドーシスが発生する理由】

◆メトグルコ(成分名:メトホルミン)が電子伝達系の働きを阻害するから

 

通常は乳酸が蓄積すると、バランスを保つために肝臓で乳酸の代謝が行われるので問題は起こりにくい。

 

しかし乳酸の代謝スピードよりも産生量が上回った場合や、肝臓の機能が低下した場合はバランスが崩れて乳酸が蓄積してしまう

その結果、血液が大きく酸性に傾いて、乳酸アシドーシスが引き起こされるのである。

乳酸アシドーシスが発現しやすい人とは

乳酸アシドーシスが発現しやすい人の特徴は4つある。

それが以下の4つだ。

 

1:腎機能が低下している人

メトグルコ(成分名:メトホルミン)の大部分は腎臓から排泄される。

そのため、腎機能が低下している人にメトグルコ(成分名:メトホルミン)を使うと、体内に薬が蓄積しやすくなってしまう。

 

2:過度のアルコール摂取、脱水などの人

アルコールが代謝される過程ではNAD+が大量に使われる。

実はこのNAD+は、乳酸をピルビン酸に変換するのにも使われている

 

そのため、アルコール代謝にNAD+が大量に消費されてしまうと、乳酸がピルビン酸に変換されにくくなってしまう。

その結果、血中の乳酸が増加してしまうのだ。

 

また脱水になると、メトグルコ(成分名:メトホルミン)の血中濃度が高くなる

そして血液が体に行き渡らなくなった結果、低酸素状態(上述の嫌気性条件)になるため、乳酸を作る反応が進みやすくなってしまう。

そのため脱水を防ぐために、水分補給を適宜行うことが望ましい。

 

3:心血管・肺機能・肝機能に障害のある人、手術前後の人

心血管・肺機能に障害のある人や手術前後の人は、嫌気性条件になりがちであるため乳酸の産生が促進されやすい

また肝機能に障害がある場合は、乳酸を代謝する機能が落ちているため、乳酸が体内に溜まりやすくなる。

 

4:高齢者

高齢者は腎・肝機能低下しているため、慎重にメトグルコ(成分名:メトホルミン)を使う必要がある。

 

前述の通り、メトグルコ(成分名:メトホルミン)の大部分は腎臓から排泄される。

そのため、腎機能が低下していると薬が体内に留まりやすくなってしまう。

 

そして肝機能が低下している場合は、乳酸の代謝機能も低下するため乳酸アシドーシスが生じやすい。

 

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乳酸アシドーシスの主な対処法

乳酸アシドーシスの主な対処法には、以下のようなものがある。

 

【乳酸アシドーシスの対処法】

◆投与の中止

◆輸液による利尿(ただし乳酸を含まないもの)

◆炭酸水素ナトリウム静注

◆血液透析(乳酸とメトグルコの除去目的)

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