糖尿病治療薬

主なインスリン製剤の特徴・違いを比較

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糖尿病治療において欠かせない薬剤の1つにインスリン製剤がある。

 

1型糖尿病はもちろんのこと、2型糖尿病、重症感染症、外科手術などではインスリン製剤は必要不可欠な存在だ。

そこで、この記事では主なインスリン製剤の特徴や違いについてまとめた。

 

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インスリン製剤の分類

インスリン製剤は大きく種類に分類できる。それがヒトインスリン製剤インスリンアナログ製剤だ。

 

ヒトインスリン製剤とは、体内のインスリンと同じ構造を持っている製剤で、遺伝子組み換えに技術によって開発されたものである。

ヒトインスリン製剤には「ヒューマリンR」、「ノロボリンR」、「ノボリン30R」、「ヒューマリン3/7」がある。

 

【ヒトインスリン製剤】

◆ヒューマリンR注

◆ノボリンR注

◆ノボリン30R注

◆ヒューマリン3/7注

 

一方、インスリンアナログ製剤とは、ヒトインスリンを人工的に改造したものである。

人工的に手を加えることによって、インスリンと同じ作用を持ちつつ薬物動態が改善された。

簡単に言ってしまうと、ヒトインスリン製剤をバージョンアップしたものと言っても良いだろう。

 

インスリンアナログ製剤には「ノボラピッド」、「ヒューマログ」、「アピドラ」などがある。

 

【インスリンアナログ製剤】

◆ノボラピッド注

◆ヒューマログ注

◆アピドラ注

 

インスリン製剤の5つの分類

インスリン製剤はヒトインスリン製剤とインスリンアナログ製剤に分類されるが、作用発現時間・作用持続時間によって、さらに5種類に分類される。

それが「超速効型」、「速効型」、「中間型」、「混合型」、「持効型溶解」である。

 

インスリンの分泌は、基礎分泌と追加分泌の2種類がある

 

インスリンは1日中一定量が分泌されている。

これを基礎分泌と呼ぶ。

 

一方、追加分泌とは食事を摂った後に、大量に分泌されるインスリンのことを言う。

 

「超速効型」、「速効型」のインスリン製剤は主に追加分泌を補充する目的で使用され、「中間型」、「持効溶解型」のインスリン製剤は、主に基礎分泌の補充に使用される。

一方、「混合型」インスリン製剤は基礎分泌・追加分泌どちらの補充にも使われる。

 

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超速効型インスリン製剤の特徴・違い

超速効型インスリン製剤は、作用の発現がきわめて早い。

食直前に投与することにより、食後の血糖値の上昇を抑えることを目的に使用される。

 

アピドラ注の特徴

一般名:インスリン グルリジン

種類:インスリンアナログ製剤

作用発現時間:15分未満

最大作用時間:0.5-1.5時間

作用持続時間:3-5時間

 

ヒューマログ注の特徴

一般名:インスリン リスプロ

種類:インスリンアナログ製剤

作用発現時間:15分未満

最大作用時間:0.5-1.5時間

作用持続時間:3-5時間

 

ノボラピッド注の特徴

一般名:インスリン アスパルト

種類:インスリンアナログ製剤

作用発現時間:10-20分未満

最大作用時間:1-3時間

作用持続時間:3-5時間

 

アピドラ注、ヒューマログ注、ノボラピッド注の違い

この3種類では、アピドラ注が最も特徴的である。

アピドラ注以外の薬は安定化の目的で亜鉛が含まれているが、アピドラ注はその構造中に亜鉛を含まない。

これはアピドラ注の安定性が高いためである。

 

一般的にヒューマログ注と同程度の作用発現時間、最大作用時間、作用持続時間と言われているが、アピドラ注の方が安定性が高く、注射後速やかに吸収され短時間で消失するという報告がある。

 

また低血糖の頻度もヒューマログ注よりもアピドラ注の方が低いことが分かっている。

これはアピドラ注の方が消失時間が早いためと考えられる。

 

ノボラピッド注は、上述の通り作用持続時間は他の2剤と変わらないが、作用発現時間と最大作用時間が少し異なる。

 

速効型インスリン製剤の特徴・違い

速効型インスリン製剤は食前に投与することによって、食事による血糖値の上昇を抑える役割を果たす。

 

ヒューマリンR注の特徴

一般名:ヒトインスリン

種類:ヒトインスリン製剤

作用発現時間:0.5-1 時間

最大作用時間:1-3時間

作用持続時間:5-7時間

 

ノボリンR注の特徴

一般名:ヒトインスリン

種類:ヒトインスリン製剤

作用発現時間:約0.5 時間

最大作用時間:1-3時間

作用持続時間:約8時間

 

ヒューマリンR注とノボリンR注の主な違い

これら2つの製剤には、特に大きな違いはない。

あえて違う点を挙げるとすれば剤形の違いがある。

ヒューマリンR注はカートリッジ製剤が販売されているが、ノボリンR注は販売されていない

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中間型インスリン製剤の特徴・違い

中間型インスリン製剤は基礎分泌を補う目的で投与される。

 

ヒューマログN注の特徴

一般名:インスリン リスプロ

種類:NPL製剤

作用発現時間:0.5-1 時間

最大作用時間:2-6時間

作用持続時間:18-24時間

 

ノボリンN注の特徴

一般名:生合成イソフェンインスリン

種類:NPH製剤

作用発現時間:約1.5 時間

最大作用時間:4-12時間

作用持続時間:24時間

 

ヒューマリンN注の特徴

一般名:イソフェンインスリン

種類:NPH製剤

作用発現時間:1-3 時間

最大作用時間:8-10時間

作用持続時間:18-24時間

 

ヒューマログN注・ノボリンN注・ヒューマリンN注の違い

中間型インスリン製剤は2種類に大別される。

それがNPL(Neutral Protamine Lispro)製剤とNPH(Neutral Protamine Hagedorn)製剤だ。

ヒューマログN注はNPL製剤に分類され、ノボリンN注、ヒューマリンN注はNPH製剤に分類される。

 

両者の作用持続時間はほぼ同じだが、最大作用時間はNPL製剤の方が少しだけ早い。

ただし効果自体はほぼ同等である。

 

混合型インスリン製剤の特徴・違い

混合型インスリン製剤とは、超速攻型または速効型と中間型インスリン製剤をさまざまな比率で混合した製剤を指す。

超速効型(または速効型)成分の配合比率が高い製剤ほど食後の血糖効果作用が大きく、中間型成分の配合比率が高い製剤ほど食間の血糖降下作用が持続する。

 

ノボラピッド30ミックス注の特徴

一般名:溶解インスリン アスパルト/プロタミン結晶性インスリン アスパルト

種類:超速効型インスリンアナログ/中間型混合製剤(30:70)

作用発現時間:10-20 分

最大作用時間:1-4時間

作用持続時間:約24時間

 

 

ノボラピッド50ミックス注の特徴

一般名:溶解インスリン アスパルト/プロタミン結晶性インスリン アスパルト

種類:超速効型インスリンアナログ/中間型混合製剤(50:50)

作用発現時間:10-20 分

最大作用時間:1-4時間

作用持続時間:約24時間

超速効型:中間型 =50:50

 

ノボラピッド70ミックス注の特徴

一般名:溶解インスリン アスパルト/プロタミン結晶性インスリン アスパルト

種類:超速効型インスリンアナログ/中間型混合製剤(70:30)

作用発現時間:10-20 分

最大作用時間:1-4時間

作用持続時間:約24時間

超速効型:中間型 = 70:30

 

ヒューマログミックス25注の特徴

一般名:溶解インスリン リスプロ/中間型インスリン リスプロ

種類:超速効型インスリンアナログ/中間型混合製剤(25:75)

作用発現時間:15 分未満

最大作用時間:0.5-6時間

作用持続時間:18-24時間

超速効型:中間型 =25:75

 

ヒューマログミックス50注の特徴

一般名:溶解インスリン リスプロ/中間型インスリン リスプロ

種類:超速効型インスリンアナログ/中間型混合製剤(50:50)

作用発現時間:15 分未満

最大作用時間:0.5-4時間

作用持続時間:18-24時間

超速効型:中間型 =50:50

 

ノボリン30R 注の特徴

一般名:溶解インスリン/イソフェンインスリン

種類:速効型ヒトインスリン/中間型混合製剤(30:70)

作用発現時間:30 分

最大作用時間:2-8時間

作用持続時間:24時間

速効型:中間型 = 30:70

 

ヒューマリン3/7注の特徴

一般名:水溶性インスリン/イソフェンインスリン

種類:速効型ヒトインスリン/中間型混合製剤(30:70)

作用発現時間:0.5-1 時間

最大作用時間:2-12時間

作用持続時間:18-24時間

速効型:中間型 = 30:70

 

混合型インスリン製剤の違い

ノボラピッドやヒューマログは配合比率の異なるものが3種類あるが、明確な使い分けに関する報告はない。

 

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持効型溶解インスリン製剤の違い・特徴

持効型溶解インスリン製剤は作用の発現時間が遅く、1日を通して持続的に作用を示す。

基礎インスリン分泌を補う目的で使用される

 

ランタス注の特徴

一般名:インスリン グラルギン

種類:インスリンアナログ製剤

作用発現時間:1-2 時間

最大作用時間:ピークなし

作用持続時間:24時間

 

レベミル注の特徴

一般名:インスリン デテミル

種類:インスリンアナログ製剤

作用発現時間:1 時間

最大作用時間:3-14時間

作用持続時間:24時間

 

トレシーバ注の特徴

一般名:インスリン デグルデク

種類:インスリンアナログ製剤

作用発現時間: なし(定常状態で作用を発揮するため)

最大作用時間:ピークなし

作用持続時間:42時間以上

 

ランタス注、レべミル注、トレシーバ注の違い

これらの製剤は用法が少し異なる。

 

【ランタスの用法】

朝食前または就寝前の1日1回使用する。

 

【レべミルの用法】

1日1回もしくは2回で使用。

1日1回使用する場合は夕食前又は就寝前、1日2回使用する場合は朝食前及び夕食前、又は朝食前及び就寝前に投与する。

例えば、時間よって血糖値が変動する場合は、朝と夕で使用するインスリンの量を調整することが可能である。

 

【トレシーバの用法】

1日1回、毎日一定の時間に使用する。他の薬と異なり、時間帯の指定がなく、毎日一定の時間であれば好きなタイミングで使って良い。

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