糖尿病治療薬 薬の基礎知識

病院で処方される糖尿病の薬について分かりやすく解説する

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代表的な生活習慣病の1つに糖尿病がある。

糖尿病は適切に治療しないと、様々な病気を引き起こす怖い疾患だ。

そこでこの記事では、糖尿病の治療に使われる薬についてまとめた。

 

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糖尿病とは

糖尿病とは、血糖値が正常な範囲よりも高い状態になる病気だ。

日本では5人に1人が糖尿病または糖尿病予備軍とも言われ、非常に身近な病気と言える。

 

糖尿病の主な症状としては、多飲・多尿がある。

糖尿病では血糖値が高くなるので、体が少しでもこの状態を薄めようとする。

その結果、喉が渇くようになり、水をたくさん飲みたくなってしまう。

そして水をたくさん飲むため、多尿になるのだ。

 

また糖尿病の怖さは、合併症を引き起こすことにある。

糖尿病の有名な合併症が「糖尿病神経障害」、「糖尿病網膜症」、「糖尿病腎症」だ。

これらは血糖値の高い状態が、長く続くことにより生じる。

 

【糖尿病の合併症】

1:糖尿病神経障害

2:糖尿病網膜症

3:糖尿病腎症

 

糖尿病神経障害

最初に現れやすいのが、糖尿病神経障害だ。

糖尿病神経障害では、「手足のしびれ」「痛みに鈍感になる」などの症状が見られる。

 

糖尿病網膜症

糖尿病性網膜症は、目の網膜にある血管がボロボロになることにより引き起こされる。

糖尿病網膜症では、「視力の低下」や、最悪の場合「失明」に至ることもある。

 

糖尿病腎症

糖尿病性腎症では、腎臓の毛細血管に負担がかかり尿を作る機能が低下する。

その結果、老廃物が体の外に出せなくなるので、最悪の場合は人工透析を受ける必要がある。

 

糖尿病の原因

糖尿病にはいくつか種類があり、それぞれ原因が異なる。

1:1型糖尿病

1型糖尿病は、遺伝的要因などにより引き起こされる。

血糖値を下げるホルモンであるインスリンが膵臓で作られないことにより、インスリン不足に陥る。

糖尿病患者全体の1割程度を占める。

 

2:2型糖尿病

2型糖尿病は「アンバランスな食生活」「運動不足」などの生活習慣の乱れにより、インスリン分泌の不足やインスリンの効き目が低下するタイプの糖尿病だ。

日本の糖尿病患者のほとんどが、2型糖尿病に属する。

 

3:妊娠糖尿病

妊娠糖尿病は、名前の通り妊娠中に発症する糖尿病である。

妊娠時は、血糖値を下げるインスリンの働きを抑えるホルモンが産生される。

そのため、血糖値が上昇しやすくなるのだ。

 

4:その他

その他には、薬剤や他の病気が原因となって引き起こされることがある。

 

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糖尿病の検査

糖尿病の診断方法はいくつあり、主な検査方法としては以下の3つがある。

 

1:早朝時空腹時血糖検査

早朝時空腹時血糖検査では、検査当日に朝食を抜いた状態で血糖値を検査する。

 

2:75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)

75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)では、検査当日の朝まで10時間以上飲食をせず、空腹のまま採血し血糖値を測る。

その後、ブドウ糖75gを水に溶かして飲み、30分・1時間・2時間後に血糖値を検査する。

 

3:随時血糖検査

随時血糖検査では、食後からの時間に関係なく血糖値を検査する。

 

糖尿病の判定基準

以下の1〜4のいずれかが確認された場合に、糖尿病が強く疑われる糖尿病型と判定される。

 

【糖尿病の判定基準】

1:早朝空腹時血糖が126mg/dL以上

2:75gOGTTで2時間値が200mg/dL以上

3:随時血糖値が200mg/dL以上

4:HbA1cが6.5%以上(国際標準値)

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糖尿病に使われる薬

糖尿病の治療には、以下のような薬が使われる。

 

スルホニル尿素薬(SU剤)

スルホニル尿素薬は膵臓のβ細胞に作用することにより、インスリン分泌を促進するタイプの薬だ。

食事を摂らずに服用すると、低血糖の副作用を起こしやすくなるので注意が必要である。

 

【主なスルホニル尿素薬】

アマリール(成分名:グリメピリド) 

オイグルコン、ダオニール(成分名:グリベンクラミド)

グリミクロン(成分名:グリクラジド)

 

各薬剤の違いについては、下の記事が詳しい。

>>> アマリール、グリミクロン、オイグルコン・ダオニールの違い・比較

 

速効型インスリン分泌促進薬

速効型インスリン分泌促進薬も、スルホニル尿素薬と同様に膵臓のβ細胞に作用することにより、インスリン分泌を促す

 

スルホニル尿素薬と違う点は、吸収が早く効き目が速くでるということである。

食直前に服用することが多く、食後の血糖値が上昇し過ぎないように処方される。

 

【主な速効型インスリン分泌促進薬】

グルファスト(成分名:ミチグリニド)

スターシス、ファスティック(成分名:ナテグリニド)

シュアポスト(成分名:レパグリニド)

 

各薬剤の違いについては、下の記事が詳しい。

>>> グルファスト、シュアポスト、スターシス・ファスティックの違い・比較

 

DPP-4阻害薬

インスリンの分泌を促すホルモンに、インクレチンがある。

つまりインクレチンの効果を高めればインスリン分泌が促されるので、血糖降下作用を強めることができるということだ。

 

DPP-4阻害薬は、インクレチンを分解してしまうDPP-4の働きを阻害する薬だ。

DPP-4阻害薬を服用することにより、インスリン量が増加するので血糖値を下げることができる。

低血糖の副作用は、スルホニル尿素薬や速攻型インスリン分泌促進薬に比べると少ない。

 

【主なDPP-4阻害薬】

ジャヌビア、グラクティブ(成分名:シタグリプチン)

エクア(成分名:ビルダグリプチン)

ネシーナ(成分名:アログリプチン)

トラゼンタ(成分名:リナグリプチン)

テネリア(成分名:テネグリプチン)

スイニ―(成分名:アナグリプチン)

オングリザ(成分名:サキサグリプチン)

ザファテック(成分名:トレラグリプチン)

マリゼブ(成分名:オマリグリプチン)

 

各薬剤の違いについては、下の記事が詳しい。

>>> DPP-4阻害薬の違い・比較

 

GLP-1受容体作動薬

インクレチンには、インスリン分泌を促す作用がある。

GLP-1とはインクレチンの一種で、分泌されると血糖値を下げるように働く。

しかし生体内のインクレチンはDPP-4と呼ばれる酵素によって速やかに分解され、血糖値を下げる作用がなくなってしまう。

 

ここから分かることはDPP-4によってGLP1が分解されなければ、血糖値を効果的に下げることができるということである。

 

このような考えから開発されたのが、GLP1受容体作動薬だ。

つまりGLP1受容体作動薬は、GLP1と同じ作用を持つが、DPP-4によって分解されない物質」であるため、血糖降下作用を示すのである。

 

GLP1受容体作動薬は注射剤だが、血糖コントロール作用に加え、糖尿病治療において有用な体重減少作用も認められていることが特徴だ。

 

【主なGLP-1受容体作動薬】

◆バイエッタ、ビデュリオン(成分名:エキセナチド)

◆ビクトーザ(成分名:リラグルチド)

◆トルリシティ(成分名:デュラグルチド)

◆リキスミア(成分名:リキシセナチド)

 

インスリン製剤

インスリン製剤とは、名前の通り「インスリン」そのものだ。

血糖値を下げるホルモンであるインスリンを注射し、血糖値を下げる。

作用時間によって「超速攻型」、「速攻型」、「中間型」、「混合型」、「持効型」に分類されている。

 

【主なインスリン製剤】

◆ノボラピッド

◆ヒューマログ

◆アピドラ

◆イノレットR

◆ノボリンR

◆ヒューマリンR

◆ランタス

◆レベミル

 

各薬剤の違いについては、下の記事が詳しい。

>>> 主なインスリン製剤の特徴・違いを比較

 

α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)

α-グルコシダーゼ阻害薬は、質の消化・吸収を遅らせ、食後の急激な血糖値の上昇を抑える薬だ。

デンプンなどの糖質を分解するα-グルコシダーゼを阻害することにより、その作用を発揮する。

 

主な副作用としては、「お腹が張る」や「おならが出る」、「下痢」など消化器系のものが多い。

 

【主なα-グルコシダーゼ阻害薬】

グルコバイ(成分名:アカルボース)

ベイスン(成分名:ボグリボース)

セイブル(成分名:ミグリトール)

 

各薬剤の違いについては、下の記事が詳しい。

>>> ベイスン、グルコバイ、セイブルの違い・比較

 

ビグアナイド薬(BG薬)

ビグアナイド薬は、「筋肉における糖の利用を高める作用」「肝臓で糖が作られるのを抑制する作用」により、血糖を低下させる。

 

主な副作用には、血液が急激に酸性に傾く乳酸アシドーシスがある。

乳酸アシドーシスについては、下の記事が詳しい。

>>> メトグルコによる乳酸アシドーシスはどのように起こるのか-発症機序と症状について解説-

 

【主なビグアナイド薬】

メトグルコ(成分名:メトホルミン)

 

チアゾリジン薬

チアゾリジン薬は、インスリンの効き目をよくすることによって、血糖値を下げる薬だ。

筋肉・脂肪組織に存在するインスリン受容体の機能を改善し、血中の糖が筋肉・脂肪組織に取り込まれるのを促進することにより、その作用を発揮する。

主な副作用には、浮腫(むくみ)がある。

 

【主なチアゾリジン薬】

アクトス(成分名:ピオグリタゾン)

 

SGLT2阻害薬

通常、腎臓で作られた尿に含まれる糖分は、近位尿細管と呼ばれる部位で再吸収される。

この再吸収に関与しているのがSGLT2という糖の運び屋だ。

しかし糖尿病の場合、血糖値が高い状態なので、再吸収されずに尿と一緒に糖分を体の外へ排出できた方が都合が良い。

 

そこで糖の運び屋であるSGLT2の働きを阻害すれば、糖を積極的に体外へ排出できるようになることが分かる。

このような作用機序により、血糖値を下げるのがSGLT2阻害薬だ。

 

【主なSGLT2阻害薬】

フォシーガ(成分名:ダパグリフロジン)

スーグラ(成分名:イプラグリフロジン)

カナグル(成分名:カナグリフロジン)

ルセフィ(成分名:ルセオグリフロジン)

ジャディアンス(成分名:エンパグリフロジン)

デベルザ、アプルウェイ(成分名:トホグリフロジン)

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