抗うつ薬

パキシル錠(パロキセチン)の効果・特徴・副作用

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パキシル錠(パロキセチン)の効能・効果

パキシル錠(成分名:パロキセチン)は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)に分類される抗うつ薬だ。

 

簡単に説明すると、パキシル錠(成分名:パロキセチン)は「気分の落ち込みを楽にする作用」「意欲を高める作用」「不安な気持ちを和らげる作用」などを持つということである。

 

【パキシル錠の効能・効果】

1:うつ病・うつ状態

2:パニック障害

3:強迫性障害

4:社会不安障害

5:外傷後ストレス障害

 

パキシル錠(パロキセチン)の作用機序

うつ病による「気分の落ち込み」や「意欲の低下」、「憂うつな気持ち」は、セロトニンと呼ばれる神経伝達物質が関与している。

簡単に言ってしまうと、セロトニンは「感情を伝達する物質」だ。

 

このセロトニンが減少すると、うつ病の症状が引き起こされるのである。

つまり脳内のセロトニン量を増やせれば、うつ病を改善できるといことだ

 

セロトニンは脳の神経終末から放出され、セロトニン受容体に作用することによって、感情を形成する。

しかしセロトニンの量が減っていると、感情に関する情報をうまく伝達できない。

 

さらに放出されたセロトニンは「セロトニントランスポーター」と呼ばれる運び屋によって、神経細胞へ回収されてしまう。

これによって、さらに脳内のセロトニン量が減ってしまうのだ。

 

ここから分かることは、セロトニントランスポーターの働きを邪魔すれば、セロトニンが回収されなくなるので、脳内のセロトニン濃度を増やせるということだ。

セロトニン濃度が上昇した結果、うつ症状の改善を期待できる。

 

このような作用機序により、うつ病を改善するのがパキシル錠(成分名:パロキセチン)だ。

 

SSRI 作用機序

つまりパキシル錠(成分名:パロキセチン)は、セロトニントランスポーターの働きを阻害することにより、セロトニン濃度を上昇させ、うつ病を改善するのである。

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パキシル錠(パロキセチン)の特徴

パキシル錠(成分名:パロキセチン)には、以下のような特徴がある。

神経症の適応を持つ

パキシル錠(成分名:パロキセチン)は「うつ病」だけでなく、パニック障害や強迫性障害を始めとする「神経症」に対しても使われる。

 

これらの症状も、うつ病と同様にセロトニンの減少によって生じると考えられている。

そのためセロトニンの量を増やすパキシル錠(成分名:パロキセチン)を服用することによって、症状の改善を期待できる。

 

1日1回の服用で効果を示す

パキシル錠(成分名:パロキセチン)は、1日1回の服用で効果を期待できる。

そのため、1日に複数回服用する薬に比べて、飲み忘れなどのリスクが低い。

 

activation syndromeに注意

パキシル錠(成分名:パロキセチン)は、服用を始めたばかりの時に「activation syndrome(賦活症候群)」が生じることがある。

主な症状は不安や焦燥感などで、服用初期の他に服用量を変更した時にも現れやすい。

 

自殺リスクが指摘されている

パキシル錠(成分名:パロキセチン)は、海外で実施した7~18歳の大うつ病性障害患者を対象とした試験において「有効性が確認できなかったとの報告」や「自殺に関するリスクが増加するとの報告」がある。

 

そのためパキシル錠(成分名:パロキセチン)を18歳未満の大うつ病性障害患者に投与する場合は、適応を慎重に検討するよう警告されている。

 

服用を中止する場合は、徐々に減量する

パキシル錠(成分名:パロキセチン)の服用をやめる場合は、徐々に減量していく必要がある。

これは服用を突然中止することにより、吐き気やめまい、体のだるさ、不眠などの症状が発現しやすいためである。

 

薬物動態が非線形を示す

パキシル錠(成分名:パロキセチン)の薬物動態は、非線形となっている。

つまり投与量と血中濃度が、比例関係にないということだ。

(詳しくは、以下の記事参照)

>>> 「線形薬物」と「非線形型薬物」の違いとは?-分かりやすく解説-

 

そのためパキシル錠(成分名:パロキセチン)は、少量から使用を開始し、少しずつ増量していくことが望ましい。

原則として、1週ごとに10mg/日ずつ増量する。

 

抗コリン作用が発現しやすい

パキシル錠(成分名:パロキセチン)は、他のSSRIに比べて抗コリン作用が発現しやすいという特徴がある。

そのため口の渇きや便秘、眠気などの副作用が起こりやすい。

 

パキシル錠とパキシルCR錠の違い

パキシル錠(成分名:パロキセチン)は、普通錠だけでなく、CR錠も販売されている。

CR錠とは、Controlled Releaseの略で、薬が溶ける部位と溶け方がコントロールされた薬だ。

>>> 薬の名前についているSR・CR・LA・RMって何の略?-アルファベットの意味について解説-

 

パキシルCR錠(成分名:パロキセチン)は、胃で溶けずに腸で溶けるようにコーティングされている。

胃を通過後に少しずつ薬が溶け出すため、普通錠に比べると、受容体への急激な刺激がなく、吐き気などの副作用が現れにくい。

 

パキシル錠は「10mg」と「20mg」が、パキシルCR錠は「12.5mg」と「25mg」が販売されており、パキシル錠10mgとパキシルCR錠12.5mg、パキシル錠12.5mgとパキシルCR錠25mgの効果は同等とされている。

 

パキシルCR錠の用量の方が多い理由は、パキシルCR錠は腸管内で少しずつ薬が放出されるため、肝臓での初回通過効果の影響を受けやすく、肝代謝によって薬が消失する割合が大きくなるためである。

 

パキシル錠(パロキセチン)の飲み方

通常、パキシル錠(成分名:パロキセチン)は、以下の量を服用する。

 

【パキシル錠の用法・用量】

うつ病・うつ状態

1日の服用量:20~40mg(1回10~20mgより開始)

1日の服用回数:1回 夕食後

1日の最大服用量:40mg

 

パニック障害

1日の服用量:30mg(1回10mgより開始)

1日の服用回数:1回 夕食後

1日の最大服用量:30mg

 

強迫性障害

1日の服用量:40mg(1回20mgより開始)

1日の服用回数:1回 夕食後

1日の最大服用量:50mg

 

▼社会不安障害

1日の服用量:20mg(1回10mgより開始)

1日の服用回数:1回 夕食後

1日の最大服用量:40mg

 

▼外傷後ストレス障害

1日の服用量:20mg(1回10~20mgより開始)

1日の服用回数:1回 夕食後

1日の最大服用量:40mg

 

*あくまでも原則の用法・用量なので、主治医から指示された通りに服用すること

 

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パキシル錠(パロキセチン)の飲み合わせ

パキシル錠(成分名:パロキセチン)は、以下の薬と飲み合わせが悪い。

そのため、一緒に使用することはできない。

 

【パキシル錠の併用禁忌】

MAO阻害剤(セレギリン塩酸塩、エフピー)

理由:セロトニン症候群の副作用が生じる可能性があるため

 

◆ピモジド(商品名:オーラップ)

理由:重篤な心臓血管系の副作用が生じる可能性があるため

パキシル錠(パロキセチン)の注意点

パキシル錠(成分名:パロキセチン)を服用する際は、以下の点に注意する必要がある。

 

【パキシル錠を服用する際の注意点】

◆車の運転を始めとする危険を伴う機械の操作は控える

理由:眠気や注意力の低下が起こる可能性があるため

 

◆自己判断で服用を中止しない

理由:吐き気や不眠、不安、神経過敏などの症状が現れる可能性があるため

 

◆抗パーキンソン病薬、抗精神病薬を服用している場合は相談する

理由:飲み合わせが悪い可能性があるため

 

◆アルコールは控える

理由:薬の作用が過度に現れる可能性があるため

 

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パキシル錠(パロキセチン)の禁忌

以下に該当する人は、パキシル錠(成分名:パロキセチン)を服用してはいけない。

 

【パキシル錠の禁忌】

◆パキシル錠の成分に対し過敏症(アレルギー)のある人

理由:体質的に相性が悪い可能性があるため

 

◆MAO阻害剤を投与中あるいは投与中止後2週間以内の人

理由:セロトニン症候群の副作用が生じる可能性があるため

 

◆ピモジド(商品名:オーラップ)

理由:重篤な心臓血管系の副作用が生じる可能性があるため

 

パキシル錠(パロキセチン)の副作用

パキシル錠(成分名:パロキセチン)の主な副作用としては「ウトウトする」「吐き気」「めまい」「頭痛」「便秘」などが報告されている。

 

【パキシル錠の主な副作用】

◆ウトウトする

◆吐き気

◆めまい

◆頭痛

◆便秘

 

またパキシル錠(成分名:パロキセチン)には、以下の重大な副作用が報告されている。

 

【パキシル錠の重大な副作用】

◆セロトニン症候群

症状:不安、混乱する、興奮、イライラする、発汗、頻脈、下痢、手足の震えなど

 

◆悪性症候群

症状:高熱、発汗、頻脈、血圧の変動、意識障害など

 

◆錯乱、幻覚、せん妄、痙攣

症状:考えがまとまらない、見えるはずのないものが見える、混乱する、けいれんする等

 

◆中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑

症状:全身が赤くなる、皮膚のただれ、水ぶくれ、高熱、目が赤くなる、発疹など

 

◆抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)

症状:尿量の増加、尿が漏れてしまう、嘔吐、頭痛、けいれん、意識障害など

 

◆重篤な肝機能障害

症状:体がだるい、吐き気、食欲不振、皮膚・白目が黄色くなる等

 

◆横紋筋融解症

症状:筋肉の痛み、力が入りにくい、手足のしびれ、赤みがかった尿など

 

◆汎血球減少、無顆粒球症、白血球減少、血小板減少

症状:疲労感、動悸、息切れ、発熱、喉の痛み、青あざができやすい、出血やすいなど

 

◆アナフィラキシー

症状:発疹、血管浮腫、呼吸困難など

 

*副作用のような症状が現れた場合は、速やかに主治医に相談すること。

 

パキシル錠(パロキセチン)を飲み忘れたら

パキシル錠(成分名:パロキセチン)を飲み忘れたら、気づいた時に忘れた分の薬を服用する。

ただし次の服用時間に近い場合は、飲み忘れに気づいても服用しなくて良い。

絶対に2回分の量を1度に服用してはいけない。

>>> 他の抗うつ薬をチェックする

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