抗血栓薬

代表的な抗凝固薬の違い・比較【ワーファリン、プラザキサ、イグザレルト、リクシアナ、エリキュース】

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血栓が血管を詰まらせると、脳卒中や心筋梗塞などの原因となる。

そのため血栓の生成を予防することは、非常に重要なのだ。

 

血栓の生成を予防する薬の1つが抗凝固薬である。

そこでこの記事では、以下の代表的な抗凝固薬の違い・比較についてまとめた。

 

【代表的な抗凝固薬】

ワーファリン(成分名:ワルファリン)

プラザキサ(成分名:ダビガトラン)

リクシアナ(成分名:エドキサバン)

イグザレルト(成分名:リバーロキサバン)

エリキュース(成分名:アピキサバン)

 

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作用機序の違い

抗凝固薬は作用機序によって、大きく3つに分類できる。

それが「ビタミンK拮抗薬」「直接トロンビン阻害薬」「第Xa因子阻害薬」だ。

 

ビタミンK拮抗薬

ビタミンK拮抗薬に分類されるのが、ワーファリン(成分名:ワルファリン)だ。

 

【ビタミンK拮抗薬】

ワーファリン(成分名:ワルファリン)

 

 

血栓の生成に大きく関わってくるのが「血液凝固因子」だ。

この血液凝固因子が複雑に作用しあった結果、血液が固まるのである。

 

血液凝固因子には、多くの種類が存在するが、ここで覚えるは4つだけで良い。

それが「第Ⅱ因子(プロトロンビン)」「第Ⅶ因子」「第Ⅸ因子」「第Ⅹ因子」である。

 

これら4つの血液凝固因子の共通点が、「ビタミンKがなれば合成されない」ということだ。

ここから分かることは、ビタミンKの働きを抑えてしまえば、血液凝固因子が合成されないので、血栓ができにくくなるということである。

 

このような作用機序により、血液を固まりにくくして、血栓の生成を抑制するのがワーファリン(成分名:ワルファリン)だ。

 

ワーファリン作用機序

 

つまりワーファリン錠(成分名:ワルファリン)は、ビタミンKの働きを阻害することにより、血液凝固因子の合成を抑制し、血栓をできにくくする薬なのである。

 

直接トロンビン阻害薬

直接トロンビン阻害薬に属するのが、プラザキサ(成分名:ダビガトラン)だ。

 

【直接トロンビン阻害薬】

プラザキサ(成分名:ダビガトラン)

 

 

血液の凝固に大きく関わる物質の1つが「フィブリン」である。

フィブリンには、血液を凝固させる働きがある。

つまりフィブリンが作られないようにすれば、血液の凝固を抑制できるということだ。

 

フィブリンの生成に重要な役割を果たすのが「トロンビン」だ。

具体的に言うと、フィブリノーゲンにトロンビンが作用することにより、フィブリンが生成される。

 

ここから分かることは、トロンビンの働きを阻害すればフィブリンが生成しなくなるので、血液が固まらなくなるということだ。

このような作用機序により、血栓の生成を抑制するのがプラザキサカプセル(成分名:ダビガトラン)だ。

 

プラザキサ作用機序

 

つまりプラザキサカプセル(成分名:ダビガトラン)は、トロンビンの働きを阻害することによって、血栓ができるのを抑制するのである。

 

第Xa因子阻害薬

第Xa因子阻害薬に属するのがリクシアナ(成分名:エドキサバン)イグザレルト(成分名:リバーロキサバン)エリキュース(成分名:アピキサバン)である。

 

【第Xa因子阻害薬】

リクシアナ(成分名:エドキサバン)

イグザレルト(成分名:リバーロキサバン)

エリキュース(成分名:アピキサバン)

 

 

血栓ができないようにするには、血液が固まらないようにすれば良い。

血液の凝固に大きく関わる物質が「フィブリン」「第Xa因子」だ。

 

フィブリンには、血液を凝固させる働きがある。

つまりフィブリンが作られないようにすれば、血液の凝固を抑制できるということだ。

 

フィブリンによって血液が凝固されるまでには、第Ⅹa因子を始めとする多くの血液凝固因子が関与している。(下の図参照)

簡単に言うと、この血液凝固因子が作用することにより、フィブリンが生成されているのだ。

 

ここから分かることは、フィブリンの生成に関与する第Xa因子の働きを阻害すれば、血液の凝固を抑制できるということである。

このような作用機序により、血栓の生成を抑制するのが第Xa因子阻害薬だ。

 

第Xa因子阻害薬 作用機序

 

つまり第Xa因子阻害薬は、第Xa因子の働きを阻害することによって、血液の凝固を抑制するのである。

 

可逆的作用か不可逆的作用かの違い

抗凝固薬は、「可逆的に作用する薬」か「不可逆的に作用する薬」かで分類できる。

 

【不可逆的に作用する薬】

ワーファリン(成分名:ワルファリン)

 

【可逆的に作用する薬】

プラザキサ(成分名:ダビガトラン)

リクシアナ(成分名:エドキサバン)

イグザレルト(成分名:リバーロキサバン)

エリキュース(成分名:アピキサバン)

 

 

「可逆的」とは、水を冷やすと氷になったり、氷が溶けて水になるような、行ったり来たりできる反応のことをさす。

そして「不可逆的」とは、生タマゴをタマゴ焼きにしてしまったら、生タマゴに戻らないような、一方通行の反応のことをいう。

 

要するに可逆的に作用する薬は、血中濃度が下がると効果もなくなる薬。

そして不可逆的に作用する薬は、血中濃度が下がっても、しばらく効果が続く薬ということだ。

 

このような理由から、手術や抜歯前に必要な休薬期間にも違いがある。

可逆的に作用する薬の休薬期間は短くても大丈夫だが、不可逆的に作用する薬は少し長めの休薬期間が必要となっている。

 

【抗凝固薬の休薬時期の目安】

ワーファリン(成分名:ワルファリン):4〜5日

プラザキサ(成分名:ダビガトラン):24〜48時間前

リクシアナ(成分名:エドキサバン):24時間前

イグザレルト(成分名:リバーロキサバン):24時間前

エリキュース(成分名:アピキサバン):24〜48時間前

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適応症の違い

抗凝固薬は、適応症に違いがある。

ワーファリン(成分名:ワルファリン)の適応症

1:血栓塞栓症(静脈血栓症、心筋梗塞症、肺塞栓症、脳塞栓症、緩徐に進行する脳血栓症等)の治療及び予防

 

プラザキサ(成分名:ダビガトラン)の適応症

1:非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制

 

イグザレルト(成分名:リバーロキサバン)の適応症

1:非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制

2:深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症の治療及び再発抑制

 

リクシアナ(成分名:エドキサバン)の適応症

1:非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制

2:静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制

3:膝関節全置換術、股関節全置換術、股関節骨折手術の下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制

 

エリキュース(成分名:アピキサバン)の適応症

1:非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制

2:静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制

 

*非弁膜症性心房細動:糖尿病・高血圧・血管疾患などの疾患による自律神経調節異常を原因とするもの

 

食事による影響の違い

抗凝固薬は、「食事から受ける影響」に違いがある。

 

ワーファリン(成分名:ワルファリン)は、その作用機序にビタミンKが関与している。

そのためビタミンKを多く含む「納豆」や「青汁」、「クロレラ」などの食品を摂ってしまうと、ワーファリン(成分名:ワルファリン)の作用が減弱してしまう可能性がある。

 

一方、プラザキサ(成分名:ダビガトラン)リクシアナ(成分名:エドキサバン)イグザレルト(成分名:リバーロキサバン)エリキュース(成分名:アピキサバン)の作用機序は、ビタミンKに依存しない。

そのため、ビタミンKを多く含む食品の制限が必要ない。

 

【ビタミンK含有食品を制限する必要がある】

ワーファリン(成分名:ワルファリン)

 

【ビタミンK含有食品を制限しなくてよい】

プラザキサ(成分名:ダビガトラン)

リクシアナ(成分名:エドキサバン)

イグザレルト(成分名:リバーロキサバン)

エリキュース(成分名:アピキサバン)

 

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併用禁忌の違い

抗凝固薬は、併用禁忌薬に違いがある。

ワーファリンの併用禁忌薬

ワーファリン(成分名:ワルファリン)の併用禁忌薬は以下の3つだ。

 

【ワーファリンの併用禁忌薬】

メナテトレノン(商品名:グラケー)

理由:ワーファリンはビタミンKの働きを阻害する薬であるため、ビタミンK製剤であるメナテトレノンを一緒に服用すると、ワーファリンの効果が弱まる可能性があるため

 

◆イグラチモド(商品名:ケアラム、コルベット)

理由:機序は不明だが、ワーファリンの作用を増強し、出血リスクを増大させるため

 

◆ミコナゾール(商品名:フロリードゲル経口用、フロリードF注)

理由:ミコナゾールがワーファリンを代謝する酵素を阻害するため、ワーファリンの作用が増強し、出血リスクを増大させるため

 

イグザレルトの併用禁忌薬

イグザレルト(成分名:リバーロキサバン)の代謝排泄には「CYP3A4」と「P糖タンパク」が関与している。

そのため、CYP3A4やP糖タンパクの働きを阻害する薬と併用できない。

 

【イグザレルト錠の併用禁忌】

◆HIVプロテアーゼ阻害剤

理由:CYP3A4およびP糖タンパクの強力な阻害により、イグザレルトの作用が増強され,出血の危険性が増大するおそれがあるため

 

◆ヴィキラックス(成分名:オムビタスビル・パリタプレビル・リトナビル)

理由:CYP3A4およびP糖タンパクの強力な阻害により、イグザレルトの作用が増強され,出血の危険性が増大するおそれがあるため

 

◆コビシスタットを含有する製剤

理由:CYP3A4の強力な阻害により、イグザレルトの作用が増強され,出血の危険性が増大するおそれがあるため

 

◆以下のアゾール系抗真菌剤

《イトラコナゾール、イトリゾール、ボリコナゾール、ブイフェンド、ミコナゾール、フロリード、ケトコナゾール》

理由:CYP3A4およびP糖タンパクの強力な阻害により、イグザレルトの作用が増強され,出血の危険性が増大するおそれがあるため

 

プラザキサの併用禁忌薬

プラザキサ(成分名:ダビガトラン)は、P糖タンパクにより排出される。

そのため、P糖タンパクを強力に阻害するイトラコナゾール(商品名:イトリゾール)との併用が禁忌となっている。

 

【プラザキサカプセルの併用禁忌】

◆イトラコナゾール(飲み薬タイプ)

理由:P糖タンパクの強力な阻害により、プラザキサの作用が増強され,出血の危険性が増大するおそれがあるため

 

エリキュース、リクシアナの併用禁忌薬

エリキュース(成分名:アピキサバン)リクシアナ(成分名:エドキサバン)は、併用禁忌となる薬がない。

 

【併用禁忌なし】

エリキュース(成分名:アピキサバン)

リクシアナ(成分名:エドキサバン)

 

 

そのほかの薬の違いについては、以下のページからどうぞ。

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