鎮咳・去痰薬

ムコダイン、ムコソルバン、ビソルボンの違い・使い分け

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去痰薬には何種類かある。代表的なものはムコダイン(成分名:L-カルボシステイン)ムコソルバン(成分名:アンブロキソール)ビソルボン(成分名:ブロムヘキシン)だろう。

 

これらの違いについて、ちゃんと理解している人は意外と少ない。そこで、この記事ではこれらの去痰薬の違いと使い分けについてまとめた。


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◎痰とは

ではそもそも痰とは何だろうか。痰は何でできているのかというと、水とムチンと呼ばれる糖タンパク質で構成されている。構成割合は水9割、ムチン1割くらいだ。このムチンが痰のネバつきの原因である。

 

痰=水(9割)+ムチン(1割)

 

痰は体に入った異物を除去するための防御反応の一種であるため、痰自体は決して悪いものではない。

 

しかし、痰の量が多かったりネバつきが強いと不快感が増してしまう。高齢患者の場合は、痰を上手く排出できず窒息の原因にもなりうるのだ。そのため、去痰薬を使うことがあるのである。


 

◎ムコダインの作用機序・特徴

ムコダインは簡単に説明すると痰の性状を変えること、ネバつきの原因となる物質の産生を抑えることの2つの作用よって痰を排出しやすくする薬だ。専門的な言葉で説明すると以下のようになる。

 

・ムコダインの作用

①シアル酸とフコースのバランスを改善する

②ムチンの産生を抑制する

 

痰のネバつきはムチンを構成しているシアル酸やフコースと呼ばれる糖のバランスの崩れによって起こる。つまりこれらのバランスを是正することができれば、痰のネバつきが改善するということだ。

 

ムコダインはシアル酸とフコースのバランスを是正することによって、痰のネバつきを弱める作用を持つのである。ネバつきが弱くなった結果、痰を体外へと出しやすくなる。

 

また、ムコダインはネバつきの原因となるムチンの産生を抑えるという働きも併せ持つ。ネバつきの原因となるムチンの産生が抑制されるので、痰の粘度が下がり痰を排出しやすくなるのである。

 

他にも鼻や気道の粘膜の炎症を抑える作用や、体に入ってきた異物を外へ出す線毛の動きを活性化する作用があると言われている。


 

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◎ムコソルバンの作用機序・特徴

ムコソルバンは簡単に説明すると、気道(空気の通り道)に痰が引っかかるのを防ぐ薬だ。ムコダインのように痰のネバつきを弱める作用はムコソルバンにはない。

 

ムコソルバンは2つの作用で、痰が気道に引っかかるのを防ぐ。

 

・ムコソルバンの作用

①線毛運動の活性化

②肺サーファクタントの分泌促進

 

線毛とは気道に存在する異物を体外に排出する毛である。つまり、線毛運動が活性化することによって痰の排出を促進できるのである。

 

2つ目の作用が肺サーファクタントの分泌促進だ。肺サーファクタントとは簡単に言うと、気道の滑りをよくする物質である。つまり、気道の滑りを良くすることによって痰を排出しやすくするのである。

 

このようにムコソルバンは2つの作用で痰の排出を促進する。


 

◎ビソルボンの作用機序・特徴

ビソルボンは簡単に言うと、ムチンを溶かすことによってネバつきを弱め、痰を排出しやすくする薬だ。ビソルボンの主な作用は2つである。

 

・ビソルボンの作用

①リソソーム分泌促進作用

②漿液分泌促進作用

 

先程も書いたように、痰のネバつきの原因はムチンである。そのため、ムチンを減らすことが出来れば痰のネバつきを改善できることが分かる。

 

ビソルボンはリソソームと呼ばれる酵素の分泌促進作用を持つ。このリソソームがムチンを溶かす役割を果たすのである。つまり、リソソームの分泌促進作用によってムチンの量が減るので、痰のネバつきが改善するのだ。

 

また、ビソルボンには漿液分泌促進作用も持つ。漿液には痰をサラサラにする作用がある。そのため、漿液の分泌を促進することによって痰の粘度が下がるため、痰を排出しやすくなるのである。

 

他にもビソルボンには線毛運動促進作用や肺サーファクタント分泌促進作用があると言われている。


 

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◎去痰薬の使い分け

ではこれらの去痰薬はどのように使い分けているのだろうか。基本的には以下のような基準で使い分けられていることが多い。

 

痰の量が多い

⇒ムコダイン

 

痰にネバつきがあり喉に引っかかる

⇒ムコソルバン(+ビソルボン)

 

痰の量が多い+喉に引っかかる

⇒ムコダイン+ムコソルバン

 

このように去痰薬でも作用の仕方が異なり、使い方も少し違う。この使い分けはあくまでも目安であって、医師によって使い方は異なる。そのため、参考として認識してほしい。

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