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嚥下障害のメカニズムとは?-嚥下障害を引き起こす薬と原因-

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薬の代表的な副作用の1つに「嚥下障害(または嚥下困難)」がある。

嚥下障害は加齢が原因のこともあるが、薬の副作用が原因となっている場合も少なくない。

そこでこの記事では、「嚥下障害の概要」や「その原因」、「嚥下障害を起こしやすい薬」についてまとめた。

 

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嚥下障害とは

そもそも「嚥下障害(または嚥下困難)」では、どんな症状が現れるのか。

簡単に言ってしまうと、嚥下障害では「喉がつかえているような感じがして、食べ物が飲み込みにくい」などの症状が見られる。

 

嚥下障害は、特に高齢者で起こりやすい。

また特定の薬を服用している場合に、副作用として現れることもある。

 

嚥下の過程

嚥下障害が起こる原因を理解するためには、口に食べ物を入れ、噛んで飲み込み、胃へと運ばれる過程を5つに分けると理解しやすい。

 

その5つが「認知期」「準備期」「口腔期」「咽頭期」「食道期」だ。

嚥下障害は、これら5期のどこかに異常があると引き起こされる。

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嚥下障害の原因

どの段階に異常があるかで、「嚥下障害の原因」や「原因となる薬物」は異なる。

1:認知期

認知期とは「食べ物を目で見たり、臭いをかいで口の中に入れるまで」のこと指す。

この段階では、唾液や胃液の分泌が活発になる。

 

▼認知期における嚥下障害の原因

認知期では、「何らかの病気や加齢によって、食べものを認知する機能が低下」した場合に嚥下障害が起こる。

 

【主な原因】

◆何らかの病気

◆加齢

 

▼原因となりうる薬

認知期における嚥下障害は、認知機能を低下させうる薬が原因となることが多い。

例えば「抗うつ薬」「抗てんかん薬」「抗精神薬」「抗不安薬」など認知機能に影響を与える薬の服用により、嚥下障害が引き起こされやすい。

 

【原因となりうる主な薬】

◆抗うつ薬

◆抗てんかん薬

◆抗精神薬

◆抗不安薬

 

2:準備期

準備期とは食べ物を噛んで唾液と食べ物を絡み合わせ、食べたものを塊にして飲み込むまで」のことを指す。

 

▼準備期における嚥下障害の原因

準備期における嚥下障害は、錐体外路障害などにより、自分の意思で口や舌を上手く動かせなくなってしまった場合に、引き起こされる。

また唾液の分泌低下によっても、嚥下障害が生じることがある。

 

【主な原因】

◆錐体外路障害

 

▼原因となりうる薬

準備期では、「錐体外路障害を起こしやすい薬」が原因となることが多い。

錐体外路障害を起こしやすい薬としては、アキネトン(成分名:ピペリデン)リスパダール(成分名:リスペリドン)などの「抗精神薬」、「三環形抗うつ薬」「選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)」「セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SSRI)」などがある。

 

これらの薬を服用していて「口をモグモグさせる」、「舌が変な動きをしている」などの症状が現れている場合は、錐体外路症状を疑う必要がある。

 

また唾液の分泌を低下させる薬(口の中が乾く薬)も原因となりうる。

唾液の分泌を低下させる薬としては、「泌尿器系薬」「パーキンソン病治療薬」をはじめとする抗コリン薬、「利尿薬」「抗ヒスタミン薬」などが挙げられる。

特に抗コリン薬は重複して投与されることが多いので、注意が必要だ。

 

【原因となりうる主な薬】

◆錐体外路障害を引き起こす薬

◆唾液の分泌を低下させる薬

 

3:口腔期

口腔期とは、「食べ物を口から喉の方へ送る段階」のことを指す。

 

▼口腔期における嚥下障害の原因

口腔期における嚥下障害は、加齢の影響が大きい。

これは単純に、年を重ねるにつれて、食べ物を飲み込むための筋力が低下するからだ。

 

【主な原因】

◆加齢

 

▼原因となりうる薬

口腔期における嚥下障害を起こしやすい薬としては、筋肉や神経に影響を及ぼす薬が挙げられる。

具体的にいうと、「筋弛緩薬」や「ステロイド」、「向精神薬」「抗てんかん薬」などが、その一例だ。

 

【原因となりうる主な薬】

◆筋肉や神経に影響を及ぼす薬

 

4:咽頭期

咽頭期とは、食べ物を喉から食道へ送る段階」のことをいう。

 

▼咽頭期における嚥下障害の原因

咽頭期における嚥下障害も、口腔期と同様に加齢の影響が大きい。

繰り返しになるが、年を重ねるにつれて、食べ物を飲み込むための筋力が低下するためである。

 

咽頭期の嚥下障害では、食べ物を飲み込んだ時にむせることが多い。

これは、食べ物が気管へと入りこまないよう「咳反射」が起こるためである。

 

【主な原因】

◆加齢

 

▼原因となりうる薬

咽頭期における嚥下障害を起こしやすい薬としては、筋肉や神経に影響を及ぼす薬が挙げられる。

具体的にいうと、「筋弛緩薬」や「ステロイド」、「向精神薬」「抗てんかん薬」などである。

 

【原因となりうる主な薬】

◆筋肉や神経に影響を及ぼす薬

 

5:食道期

食道期とは、べ物が食道から胃へと送られる段階」のことを指す。

 

▼食道期における嚥下障害の原因

食道期における嚥下障害は、何かを食べたり飲んだりして、数秒経ってから「何かがつかえている」感覚になることが多い。

 

固形物を飲み込んだ時に「つかえている」感覚がある場合は、食道が狭くなっている可能性が、そして液体を飲み込んだ時にも「つかえている」感覚がある場合は、筋肉や神経に異常があると考えられる。

 

「食道がん」や「食道炎」、「食道カンジダ症」などによって炎症が起こり、食道が狭まってしまうことが多い。

 

また「鉄欠乏性貧血」によっても、嚥下障害が引き起こされることがある。

これは粘膜細胞を再生させる上で、鉄は必要な成分だからだ。

鉄が不足することによって、食道で粘膜障害が生じるので、嚥下障害が起こるのである。

 

【主な原因】

◆食道がん

◆食道炎

◆食道カンジダ症

◆鉄欠乏性貧血

 

▼原因となりうる薬

食道期における嚥下障害は、「点鼻薬」や「吸入ステロイド」を長期使用することにより食道カンジダ症が発症して、引き起こされることが多い。

また「抗がん剤」、「抗菌薬」、「NSAIDs」「ビスホスホネート製剤」などが原因となることもある。

 

【原因となりうる主な薬】

◆点鼻薬

◆吸入ステロイド

◆抗がん剤

◆抗菌薬

◆NSAIDs(痛み止め)

◆ビスホスホネート製剤(骨粗鬆症)

 

まとめ

嚥下障害は、薬によって引き起こされることが非常に多い。

「口をモグモグさせる」、「舌の動きがおかしい」、「口が乾く」、「食べ物を食べるとむせることが多い」、「つかえる感じがする」などの症状を訴える場合は、嚥下障害を生じる可能性が否定できないので速やかな受診が推奨される。

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