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薬剤師が"成長のため"長時間労働のブラック職場に就職するのはアリか

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「成長のために長時間労働のブラックな職場で働くのはアリだと思う」

たまにこんなことを言っている人がいる。

 

たしかに、この意見は一理あるかもしれないけど、個人的にはあまり賛成できない。

そこでこの記事では、「薬剤師が"成長のため"に長時間労働のブラックな職場に就職するのはアリか」についてまとめてみた。

 

就活とか転職の参考に少しでもなれば嬉しい。

 

 

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長時間労働必須のブラックな職場で薬剤師は成長できるのか

 

長時間労働必須のブラックな職場で薬剤師は成長できるのか。

僕の意見は「成長できる薬剤師もいるけど、成長のためのベストな方法ではない」というものだ。

 

長時間労働必須のブラックな職場で成長するのがベストではない理由

僕がなぜ「長時間労働必須のブラックな職場を選ぶことがベストな方法ではない」と考えているのかというと、理由はとても簡単で「長時間のブラック労働で成長できる」とは限らないからだ。

 

仮に「長時間労働必須のブラックな職場で働くと成長できる」としよう。

こう考えると、日本にたくさんいるであろうブラックな職場で働く薬剤師はみんな成長できるということになってしまう。

 

もし長時間のブラック労働にそのような効用があるのであれば、世論的にもブラック企業に対する肯定的な意見はもっと多いはずだし、ブラック企業は高い業績を残すはずだ。

 

けど、実際のところブラック企業への風当たりはとても強いし、某外食チェーンはブラック過ぎて人が集まらなくなり、一時期お店を開けないという事態にまでなっていたのは記憶に新しい。

 

そもそも長時間のブラック労働が良いことなら、過労死ラインみたいな労働時間を制限するルールがあるのはおかしい。

長時間のブラック労働は、明らかにメリットよりもデメリットの方が上回る。

 

長時間のブラック労働は精神的マッチョをスクリーニングする手段としてはベスト

僕が思うに、「長時間のブラック労働」は精神的マッチョをスクリーニングする手段としてはベストなのだと思う。

 

要するに、「過酷な環境でもへこたれずに働ける薬剤師」を見つける簡単かつ効果的な方法なのだ。

長時間労働のブラック環境を提供しておけば、精神的マッチョな薬剤師は勝手に成長していく。

 

一方で、この過酷な環境に耐えられなかった薬剤師は淘汰される。

その結果、精神的マッチョな薬剤師だけが残って、しばらくするとブラック労働を肯定する薬剤師が多数派を占めるようになり、少しずつブラックな職場が完成していくというわけだ。

 

僕の知り合いにもブラックな環境下で長時間働いて、いわゆる「デキる薬剤師」になった人が何人かいるのだけど、こういった薬剤師たちは例外なく「精神的なタフさ」を持っている。

 

例えば、超長時間労働を強いられても、彼らはポジティブだ。

「成長のために頑張ろう」と頭の中でポジティブに変換できる。

 

上司に「なんでこんなこともできないの?」とガチなトーンで詰められたとしても、彼らは「次はちゃんとできるように頑張ろう」とか「こういってもられるのは自分に期待してくれるからだ」と考える。

 

こういった人材を自然選択するのに都合の良い方法が長時間のブラック労働なのだ。

 

 

「ブラックな環境で働けば成長できる」を全ての薬剤師に適用するのは危険

「ブラックな環境で働けば成長できる」を全ての薬剤師に適用するのは危険

 

確かに長時間のブラック労働環境下で成長できる薬剤師はいると思う。

しかし、それを全ての薬剤師に適用するのは明らかに危険だ。

 

「ブラックな職場で働けば成長できる」を一般化するのはいけない

「ブラックな職場で働けば成長できる」と主張する薬剤師がいるのは一定数いる。

僕にもそういうことを言っている薬剤師の知り合いがいるのだけど、自分の経験を一般化し過ぎてしまうのは褒められたことではない。

 

こういったアドバイスは真に受けないのが無難だと思う。

ヘタに信じてしまうと、体調を壊す可能性があるからだ。

 

社会心理学では『公正世界仮説』という考え方がある。

ざっくり言うと、「頑張れば報われる」みたいな価値観のことだ。

 

実際のところ、そんな風にこの世の中はできていないのだけど、残念なことにブラックな労働環境を肯定する薬剤師は、この公正世界仮説のような価値観を持っている場合がほとんどだ。

 

この「頑張れば報われる」という考えは、「努力原理主義」につながり、ブラック労働に拍車をかける。

 

「一万時間の法則」の嘘

「頑張れば報われる」と考えている人が、よく根拠として出すのが一万時間の法則だ。

 

これはアメリカの作家マルコム・グラッドウェルが、「天才!成功する人々の法則」の中で提唱したもので、ざっくり言えば「大きな成功を納めた人は、みんな一万時間という気の遠くなるような時間を費やして努力している」という法則である。

 

たしかに「労働時間が多いと成長できる」という側面が多少はあるかもしれないけど、同書の中で示されている事例は根拠としてかなり弱い。

 

例えば「ビートルズはデビュー前に一万時間演奏した」だの「ビル・ゲイツは一万時間プログラミングに熱中した」といった具合だ。

 

才能のある人が努力を積み重ねた結果として大きな成果が出たという事実を根拠として挙げ、「才能より努力」と結論づけているのだが、これはよくある論理展開のミスである。

 

「ビル・ゲイツは努力をしていた」という事実があったとしても、「努力すればビル・ゲイツのようになれる」というわけではない。

 

「ビル・ゲイツは努力をしていた」という事実から言えることは、「努力なしではビル・ゲイツのようになれない」ということだけである。

(ちなみに分かっていて、わざとこの論法を使う人もいる)

 

ヒトには向き・不向きがある

実際のところ、ヒトには向き・不向きがあり、闇雲に長時間頑張ったところで結果が約束されることはない。

 

例えば、「病院薬剤師は不向きだったけど、薬局薬剤師は向いていた」とか、その逆で「薬局薬剤師は肌に合わなかったけど、病院で働く方が向いていた」という事例はよく聞く。

 

そもそも職場のミスマッチが起こっていれば、いくら頑張っても成長しにくい。

ブラック労働をしたところで、自分に適性がなければ成長するのは難しいのだ。

 

ブラック労働で成長したと主張する薬剤師は、たしかに成長できたのかもしれない。

 

しかしそれは生存者バイアスというもので、たまたま生き残ったから言えることなのだ。

健康を害するリスクがあるにも関わらず、「ブラック労働で成長できる」と言うのはいかがなものかと思う。

 

 

 

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薬剤師がブラックな職場で働くメリットは少ない

 

僕はホワイトな職場とブラックな職場、それぞれ働いたことがある。

その経験から言うと、普通の薬剤師がブラックな職場で働くメリットは少ないように思う。

 

僕が長時間労働のブラックな職場から学んだこと

僕が長時間のブラック労働から学んだことと言えば、「長時間のブラック労働は体調を崩す」、「自分は長時間労働が嫌い」の2つくらいだった。

 

先ほども書いたように、ブラック労働環境下で成長できる薬剤師もいると思う。

けど、大半の薬剤師は僕と同じようなことしか得られないだろう。

 

一部の薬剤師は大きく成長できるかもしれないけど、その裏ではたくさんの屍が転がっているのである。

 

ブラックな職場で働くメリットは少ない

この記事を書くにあたり、ブラックな職場で働くメリットについて検索してみた。

で、以下のようなメリットを挙げている記事が見つかった。

 

【ブラック企業で働くメリット】

  • 経験値アップ
  • ストレス耐性が身に付く
  • 残業が苦にならない

https://matome.naver.jp/odai/2142069385670310401

 

1の経験値アップに関しては、ブラックな職場じゃなくても可能だ。

薬局でもドラッグストアでも病院でも、働けばそれだけで経験値アップにつながる。

 

2のストレス耐性だって、ブラックな職場じゃなくてもつけることはできる。

どこの職場に行ったって、モンスターペイシェントの1人や2人いるし、ソリの合わない同僚だっているのだからストレス耐性はそれなりにつく。

 

3の残業が苦にならないは完全に論外だ。

苦にならなくなった時点で残業が常態化しやすくなり、生産性が著しく下がるだろう。

 

多くの薬剤師にとってブラックな職場で働くメリットなんてほとんどなく、むしろデメリットの方が明らかに大きい。

 

 

ブラックな職場がつらい薬剤師は環境を変える選択肢を持とう

ブラックな職場で働くのは選択肢としてアリだけど、辛いなら話は別

 

ブラックな職場で成長できる可能性もあるけど、大半の薬剤師にとっては壊れるリスクの方が高い。

 

なので、「すでにブラックな職場で働いているけどつらい」と思っているなら、精神的に病む前に職場を変えた方が無難だと思う。

 

すぐに転職しろとは全く思わないけど、『逃げる』という選択肢を頭の片隅に置いても損はない。

幸いにも薬剤師は、就職先がまだまだたくさんある。

 

ブラックな職場じゃなくても薬剤師は成長できる

成長は「ブラックな職場」じゃなくてもできる。

 

むしろ普通の薬剤師は、法令遵守が行き届いたホワイト環境下で働いた方が、精神的に病むリスクがないので、成長できるチャンスが多いように思う。

 

健康を害するリスクを取ってまで、ブラックな職場で成長しようとする意味はあるのだろうか。

僕にはブラック環境の職場で薬剤師が働くメリットがあるようには思えない。

 

仕事だけが成長する手段ではない

そもそも仕事だけが成長の手段ではない。

仮にホワイト環境で働いて余力が残っているようなら、仕事が終わった後に勉強すれば良い。

 

薬剤師として成長するには仕事だけでなく、自主学習という方法もある。

(というかインプットとアウトプットのバランスが大事)

 

健康である限り、薬剤師として成長する方法なんていくらでもあるのだ。

 

 

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まとめ

多くの薬剤師にとって、長時間のブラックな職場はデメリットの方が大きい。

 

なぜブラック企業がこんなにも叩かれて、政府が「働き方改革」を推進しているのか考えよう。

デメリットの方が大きいからである。

 

ブラックな職場で成長できる薬剤師もいると思うけど、それは少数派だ。

 

ドラマや映画では長期間に渡る努力が美しく描かれているので過酷な環境下で頑張ることが賞賛されがちだが、多くの人には適さない働き方である。

 

もしブラック環境でつらい思いをしている薬剤師がいるのなら、メンタルが壊れないうちに環境を変えることを選択肢に入れることを提案したい。

 

では。

 

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