時事ネタ

薬剤師不要論はなぜ起こるのか

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インターネットを徘徊していたら、ちょっと古いけど以下のような記事を見つけた。

>> 薬剤師の政治力はなぜ強いのか

 

薬剤師からすると、「いや、政治力めっちゃ弱いんだが。。」とタイトルを読んだ時点でツッコミたくなる記事なのだが、要約すると「薬剤師いらなくね?」という話が展開されている。

 

インターネット上では、このような薬剤師不要論をちょくちょく見かける。

Twitterでも「薬剤師なんていらね」みたいなことをつぶやいている人がたまにいる。

 

そこでこの記事では、なぜ「薬剤師いらない」と言われてしまうのかについて僕が思ったことを書いてみた。

ちょっとまとまりがないかもしれないけどすまん。

 

 

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なぜ薬剤師不要論は起こるのか

なぜ薬剤師不要論は起こるのか

 

なぜ薬剤師不要論は起こるのだろうか。

 

僕は大きく分けて2つ理由があるように思う。

(政治的思惑もあると思うけど、陰謀論の域を出なそうなので除外します)

 

1:薬剤師の仕事は目立ちにくい

1つ目の理由が「薬剤師の仕事は目立ちにくい」ということ。

この前WEBエンジニアの人から聞いたのだけど、システムを保守する仕事は評価をされにくいそうだ。

 

ちゃんと保守をしていても、そのシステムを利用している人間からしたら「動くこと」は当然だからだ。

しかし、ひとたびシステムが動かなくなってしまうと、「ちゃんと保守してんのか!!」と烈火のごとく怒られてしまうらしい。

 

この前ポケモンGOというゲームで、3時間だけレアなポケモンが大量発生するというイベントがあった。

で、案の定サーバーが落ちて動かなくなり、公式アカウントには激怒したユーザーからの罵詈雑言が寄せられ地獄と化していたのだけど、イメージとしてはそんな感じだ。

 

 

この話を聞いた時、薬剤師の仕事も似ているなと思った。

 

薬剤師も鑑査という仕事をしているけど、この仕事をちゃんとしたところで特に何も起こることはない。

薬物治療が順調に進むだけである。

 

全体的に薬剤師の仕事は、目立ちにくく地味なものが多い。

そのため、「あれっ、薬剤師とかいらなくね?」という論調につながりやすいと考えられる。

 

2:薬剤師との距離感が遠い

2つ目の理由として「薬剤師との距離感が遠い」ことが挙げられる。

ふだん薬剤師との関わりの薄い人が表面的なことだけ見て「薬剤師いらない」と言っていることは意外と多い。

 

例えば、社会的地位の高い職業の1つに弁護士がある。

しかし、社会的地位が高いからといっても、日本人の多くは弁護士のお世話になったことがないと思う。

 

僕も弁護士のお世話になったことがないので、弁護士が必要かと言われたら微妙だ。

正直、僕にとってはAmazonで注文した商品を運んでくれる配送業者の方がよっぽど重要である。

 

けど、法的な争いごとを抱えている人にとって、弁護士は非常に心強い味方となると思う。

このように、人それぞれその職業に対する重要度は大きく異なる。

 

「この人なんか嫌いだな」と思っていても、実際に話してみたら良い人だったという経験は誰もがあると思う。

このようなイメージで、ある程度の関係性がないと価値を感じにくいのだ。

 

これは薬剤師にも言えることで、薬をたまにしか飲まない若い世代や健康な人にとっては薬剤師の必要性は感じにくい。

インターネットユーザーは、基本的に年齢が低いので「薬剤師いらない」という声が大きくなりがちなのだと思う。

 

 

主な「薬剤師いらない」という意見に対して思うこと

主な薬剤師いらないという意見に対して思うこと

薬剤師不要論には、いくつか種類がある。

なので、代表的な「薬剤師いらなくね?」という意見について思うことをダラダラ書いていこうと思う。

 

不要論1:薬剤師は袋に薬を詰めているだけ

よく聞くのが「薬剤師は袋に薬を詰めているだけ」という主張だ。

確かに外からだと、薬を袋に詰めているだけに見えると思う。

 

しかし、実際は袋に薬を詰めているだけでなく、「本当に処方に不備がないか」をチェックしている。

あまり知られていないけど、医師の処方箋に不備があるのは珍しくない。

 

最後の砦として、薬剤師がチェックしているのである。

決して袋に薬を詰めているだけのお気楽な仕事ではない。

 

不要論2:薬剤師はAIがやれば良い

「処方チェックはAIがやれば良い」という話も最近よく聞くようになった。

これはAIが得意の分野なので僕も賛成だ。

 

僕だって好きで処方チェックをやっているわけではない。

正直、AIがまだやってくれないから仕方なくやっているみたいな側面の方が大きい。

 

「薬の説明も、Google Homeのようなスマートスピーカーでやれば良い」という意見もある。

この主張をする人は、SF漫画の読みすぎだと思う。

 

なぜかというと、AIは言葉の意味を理解できないからだ。

詳しくは別の記事に書こうと思っているけど、AIは統計学的処理をして「おそらくこれが正しい」と思われる回答をしているにすぎない。

 

ちょっと前にペッパー君さようなら 8割超が“もう要らない”というニュースが話題になっていたけど、これはAIスピーカーの実用性が微妙なことの証左だと思う。

 

ペッパー君ですら受け入れられていないのに、スマートスピーカーによる「おそらく正しい薬の説明」なんてもっと受け入れられないだろう。

さらに言えば、スマートスピーカーによる服用指導で何かしら事故が起こった場合の責任の所在もあやふやだ。

 

ドラえもんみたいなロボットが開発されれば話は別だけど、服薬指導に関しては薬剤師がしばらくやる仕事となるだろう。

 

不要論3:薬剤師は不要な仕事だから規制に守られている

「薬剤師は不要な仕事だから規制に守られている」という主張もよく聞く。

冒頭で紹介した記事には、こんなことが書かれている。

 

「薬剤師がいないと薬を売ってはいけない」という規制を守ることは、彼らの生命線である。

ネット販売を許したら、スーパーでもコンビニでも自由に薬が売られるようになり、価格競争が始まったら既存の薬局は勝てない

 

薬剤師の規制に関する話は多岐に渡るので、この記事では市販薬のネット販売に絞るけど、この件に関してはどのような政治思想を持っているかで正しい答えが変わってくるように思う。

 

ここが違うと、全てが噛み合わなくなる。

熱心な自由主義とか功利主義の信奉者であれば、薬剤師の規制を排除して市販薬をネット販売するのは正義となるだろう。

 

けど、僕はこういった思想と医薬系の仕事は親和性が低いと考えているので同意できない。

例えば、市場原理に市販薬が完全に晒された場合、「広告費をたくさんかけた薬が良い薬」となりうる可能性がある。

 

果たして、これは良いことなのだろうか。

ネット販売は確かに利便性は高いけど、それが正義かと言われると賛成しかねる。

 

 

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薬剤師はいらない職業なのか

薬剤師はいらない職業なのか

 

僕はTwitterをやっているのだけど、「薬剤師いらない」という意見をたまに見かける。

最初のうちは「もしかして不要な職業なのかな」と思ったりもしたのだけど、今はそんなことは思っていない。

 

薬剤師はいらない職業じゃない

僕は一時期、在宅医療に従事していた。

独居老人をメインに訪問していたのだけど、この仕事では感謝される機会がとても多かった。

 

先ほどもちょろっと書いたけど、人によって薬剤師の重要度は異なるのだ。

薬を飲まない人にとってはいらない職業だけど、よく薬を飲む人は必要としてくれることが多い。

 

薬剤師として働いていたら、「薬の飲み合わせがわからなくて」とか「お医者さんには言えなかったんだけど」と相談されたことはないだろうか。

 

相談されるのは、薬剤師が必要な職業だからだ。

必要とされていないのなら、相談なんてされるわけがない。

 

一定数「薬剤師はいらない」と感じる人がいるのは仕方ない

「薬剤師はいらない」と感じる人が一定数いるのは仕方がないことだ。

どんなに頑張っても認められないなんてことは世の中にはたくさんあるし、繰り返しになるが、薬剤師との距離感が遠いほど不要だと思われやすい。

 

ネガティブな意見の方がインパクトが強いので、精神的に落ち込むこともあるかもしれないけど、どんな仕事にも批判はつきものなので過度に気にする必要はないと思う。

 

個人宅への在宅医療に従事したことがない場合は、1度経験することをオススメしたい。

薬剤師の存在価値を確認するという意味でも、かなり良い手段だと思う。

 

もし今の職場でできないのであれば、在宅医療に力を入れている会社で働いてみるのがオススメだ。

>> 薬剤師の転職サイトのおすすめはどれ?-現役薬剤師が徹底解説-

 

 

薬剤師は『仕事してるアピール』をする必要がある

薬剤師は『仕事してるアピール』をする必要がある

 

「ちゃんと仕事をしていれば薬剤師不要論を唱える人は少なくなる」と考えている職人気質の人もいるかもしれない。

 

しかし、その考えはよくないと思う。

むしろ「ちゃんと仕事してますアピール」が重要だ。

 

他人の仕事なんて誰も興味ない

基本的に、他人の仕事なんて誰も興味ない。

だからこそ、ちゃんと仕事しているアピールが必要となってくる。

 

例えば、美味しいレストランでも潰れてしまうことはよくある。

「美味しい料理を提供する」という仕事をちゃんとしているにも関わらずだ。

 

ちゃんと仕事をしていたとしても、アピールしなければ誰も気づいてくれないのである。

職人のように「黙って良い仕事する」という姿勢は美しいかもしれないが、デメリットの方が大きいように思う。

 

薬剤師の仕事は地味なので、特にアピールが必要となるだろう。

 

批判に耳を傾けるのも重要

「仕事してますアピール」をして薬剤師不要論を少なくする一方で、批判に耳を傾けるのも重要だ。

 

例えば、冒頭で紹介した記事に「薬剤師の業界は生産性が低い」という指摘があったが、これはもっともな意見だと思う。

生産性に関しては、改善の余地がかなり大きい。

 

僕はこの前、プログラミングの勉強会に参加したのだけど、薬剤師もやっているという話をすると「電子お薬手帳を使える病院とか薬局がもっとあれば便利なんですけどね」という意見をもらった。

 

21世紀だというのにいまだに紙の薬歴を使っているという話を聞くくらい、この業界はIT化が進んでいおらず、生産性に無頓着と言われても仕方ない状況だったりする。

 

ちゃんと仕事してますアピールと同時に、批判を真摯に受け止め仕事の質を上げていくことが、薬剤師不要論を減らしていくことにつながるはずだ。

 

 

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まとめ

人によって価値観は違うので、「薬剤師はいらない」と言う人が一定数いるのは仕方がない。

どんな職業に対しても「不要だ」と主張する人はいるのだから、ネガティブな意見は過度に気にしない方が良い。

 

個人でもやれることはたくさんある。

コツコツと仕事して、薬剤師不要論が少なくなっていけば良いなと思う。

 

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